H-D FLH 1984
JUNK RIDE CUSTOM MOTORCYCLE
尽きることのない
打てば響くアンサンブル
ホットロッドのテイストを取り入れたシャープなマシンで知られた北海道のカスタム屋である。’60年代のアメ車に精通し、そのフレーバーをバイクに散らしたオリジナルは、二輪畑ひと筋で来たショップとは一風変わった趣(おもむき)を漂わせている。
こちらのショベルヘッドは、以前渡辺さんが製作したレーサースタイルのマシンを気に入ったオーナーからの依頼だったと言う。そして最低条件としてセル付きと二人乗りが要求され、あとは『どれだけ小さく出来るか』という面に意識をそらさず取り掛かられた。
「ドリームのヘッドライトをたまたま持っていたものですから、これをどうにか利用出来ないかって考えていた結果こういう形になりましたね。ホットロッドテイストのある昭和な感じ。とっつぁんバイクみたいな(笑)」
そうにこやかに話すものの、さすが幾多のアメ車と深く向き合ってきた氏なだけに審美眼は紛れもない。ともすれば敬遠しがちなこの難易度の高いボックス型のヘッドライトありきでカスタムは発動された。
最初に、主軸のライトに合わせてナセルを成形。そこを基点として全体の外装が構築されてゆく。さし当たっては『乗りやすくナロー』なフォルムにピントを合わせ、フロントに41φのナローフォークをセットし、リアは11.5インチショックを内側に2cm、左右で4cmほど詰めてマウントした。
「オーダーの二人乗りですけど、カバーを外せば後ろのシートが出てニケツ出来るようになってます。ここを鉄板で作るのが大変でしたね(笑)。あとは人が乗った時に一番カッコ良く見えるようにという」
渡辺さんは全体を眺め、ひとつずつ違和感を感じた箇所を消していってバイクのバランスを取っているそうだ。幅を合わせたり線を合わせたり。全体像のアウトラインに意識を集中させ、最終的に乗りやすいバイクであるようにと、そこに誤差なくピタリと着地させている。
シックな色調も同店固有のアンサンブルだ。派手なカラーリングとは対極的な、しっとりと穏やかなトーンで一面を包み込む。氏の弟さんが最後に塗ったそれは、どの色味よりもこのマシンをさり気に引き立て、作り手の世界観をしなやかに支えている。
「リジッドではなく4速フレームの方が技術とかセンスが問われてくるのかなというのが自分の中であります」。尽きることない思い入れのあるバイクを前に、体温計では計れない、胸のずっと奥深くの温度が上がっている。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1984 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはワンオフで、ライザーはFORK製をベースにリメイク。操作性を考慮して手前にプルバックされた。
FRONT FORK
ホンダのドリーム用ヘッドライトを主軸にカスタム開始。ナセルを造作し、三つ又は41φ用ナロートリプル。
GAS TANK
全体との調和を図りナローなシルエットに成形。塗装は氏の弟さんが手掛け、両サイドにピンラインが入る。
PRIMARY COVER
1次駆動はクローズドのベルトドライブ。ゴミや空気の抜けを考えメッシュデザインのパートを取り入れた。
MUFFLER
マフラーは車体の大きさに合わせて単一で創作。鉄板を巻いてサイレンサーを用意し、パンチングパイプを挿入。
SEAT COWL
シートカウルを外すと二人乗り部分が出る仕組み。オイルタンクはバッテリーが見えないようニコイチで造作。
BUILDER’S VOICE
JUNK RIDE CUSTOM MOTORCYCLE
住所 | 北海道美唄市大通東1条南7丁目1-35 |
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電話 | 0126-66-2380 |
FAX | 0126-66-2381 |
SHOP | JUNK RIDE CUSTOM MOTORCYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 11:00 ~ 19:00 |
定休日 | 火曜日、第2・4日曜日 |