ハーレー フリスコショベルチョッパー FLH 1968年

H-D FLH 1968
DICE MOTORCYCLE

April 10th, 2021

『個』で挑まない
『全』の静かな総力戦

カスタムの落としどころがいつも真に迫る、福島の『ダイスモーターサイクル』。あっさりとしていながらも後ろ髪を引かれるように、ふと二度見をさせる存在感。ゴリついた主張はないものの、カスタム好きの肌を心地よくなでるかの空気感で視線を集めるショップだ。

ハーレー フリスコショベルチョッパー FLH 1968年

今回は『FRISCO(フリスコ)』スタイルのチョッパーである。チョッパースタイルの金字塔として知られたそれは、オーナーのリクエストを受けて製作が進められたそうだ。

「エンジンがアーリーショベルでリジッドフレームというのがリクエストでした。あとはそれプラス、フロントが前上がりでナローな感じというところですね」

ハーレー フリスコショベルチョッパー FLH 1968年

横から見て、ハンドルを頂点として堂々たるトライアングルを形成したアウトライン。そこに6インチオーバーのフロントフォークとハイマウントのガスタンク、程よい高さのシッシーバーを肉付けすることで、往年のフリスコ全盛期の妙趣(みょうしゅ)を漂わせている。

「気を付けてるところですか? まあやり過ぎない。例えばマフラーだったりシーシーバーを作り過ぎないというか。オーソドックスな形のまま全体的なバランスを取るように常に気をつけてますね」

ハーレー フリスコショベルチョッパー FLH 1968年

作り手の酒井さんは一言ひとことをしっかりと咀嚼した上で返答する。冷静に、真意をそのままに。全体をふかんして見渡せる視野を持った氏は、作り込み過ぎるとリアルな感じが出てこないと付け加える。

「このスタイルのチョッパーは今まで結構な数をやって来てますね。まあ変にいくつかのポイントを強調するよりも、全体でアピールしたいなっていうのがあります。その辺は敢えて普通にしてますね」

ハーレー フリスコショベルチョッパー FLH 1968年

ある一定の水準を超えた作り手が皆ぶつかる問題がそこにある。加工作業に関して、やりたいことはあるし技術もある。だけど、果たしてそれをやることで一台のチョッパーとしての完成度はどうなるか。やる正義とやらない正義。多くの作り手はその都度葛藤し、自分が最善と思うカードの方に全霊を注ぐ。

ハーレー フリスコショベルチョッパー FLH 1968年

氏が選択したのは、やらない正義。アイキャッチになる見せ場の作りを取り入れず、全体のバランスを最優先にしたプロポーションへと大成。そして、カラーリングは落ち着いたブラックベースのパープルグラフィックに彩色。踏み石を濡らすようなしっとりとしたトーンで作り物とペイントを呼応させることで、逆に全体の輪郭を能動的に押し出している。

HARLEY-DAVIDSON FLH 1968 DETAIL WORK

ハーレー フリスコショベル1968年のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークはショベル前期の純正φ35を6インチオーバー。ほどよいインチアップで前上がりのスタイルを形成。

ハーレー フリスコショベル1968年のガスタンク

GAS TANK

スポーツタンクの取付ステーを加工。前側から魅せるように、ハイトンネル部分を下げずに空洞を残して装着。

ハーレー フリスコショベル1968年のエンジン

ENGINE

エンジンはオーナー希望のアーリーショベル。ストックモーターに、エアカバーはマッシュルームタイプを選択。

ハーレー フリスコショベル1968年のフットコントロール

FOOT CONTROL

フットコントロールはワンオフ。若干ハイポジションとして、クラッチを踏みかえずそのまま踏めるように製作。

ハーレー フリスコショベル1968年のマフラー

MUFFLER

マフラーはパウコ製を加工。元々スラッシュカットだったエンドを前後のバランスを見て垂直に切ったとのこと。

ハーレー フリスコショベル1968年のリアエンド

REAR END

フェンダーは汎用5インチのフラットタイプを使用。シッシーバーはオーソドックスな形状の物を配置する。

BUILDER’S VOICE

DICE MOTORCYCLE

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