H-D EVOLUTION
BOOTLEG

載らないものが載る
涼しい顔した1インチ

単なるエボリューションエンジンがベースのチョッパーではない。実際は、ザワワッと鳥肌がたつほど手が入った一台である。製作は埼玉のブートレグ。言わずと知れた、カスタム界のシューティングスター。

「始めはデュオフレームにEVO（エボ）を載せる話だったんですけど、それだと結構加工しないと載らない。それじゃあ勿体ないんで、4速フレームをデュオっぽくしてショベルを載せましょうと。でもそれはそれで簡単にはいかなかったんですよね」

最終的に着地したのは、デュオ風にアレンジした4速フレームにEVOエンジンを搭載したもの。そして、しれっと自然な装いの骨格も本当は、全体的に1インチずつストレッチしたものだったりする。

「この帳尻合わせというか、あんまり『やった感』がないように収めるのが大変でしたかね。そのままだとエンジンが載らないから、出来るだけ加工したときインローとかパイプ補強が入れやすい所で、なおかつ分かりづらい所に絞って1インチずつ伸ばした」

このとき、ネック周りのラグや鋳物の部分は絶対加工したくなかったためハードルはグンと上がった。例えば、ネックチューブだけを前にポンと付けてトレールとセンターを出すのは簡単である。が、ネック周りを加工せずに、メインチューブとその下のサブパイプ、ダウンチューブ2本の計4本を調整するのがどれほどハードなことか。しかも、その4点軸の位置をずらさずにトレール角やフレームラインを合わせ、更に加工してないように見せるのはもはや至難のワザ。

「まあ出来るだけ分からないようにするのと、綺麗なリジッドのラインって言うんですか、ネックからストレートに伸びたデュオフレームのようなラインを出すのが大変でしたかね」

フレームワークはこの辺にしておいても、それに付随するパートを無視するわけにはいかない。結局、骨格を1インチ伸ばしているもんだから個々のディテイルがいつも通りの手順では付かなくなる。エンジンマウントからオイルタンクのクリアランス、マフラー周りにしてもあらゆる寸法が変わったため、ひとつずつ加工し直してのセットアップが不可欠だ。

デュオ風4速フレームにEVOエンジンのコンビネーション。同胞の作り手でなければ解けないようなカラクリを抱きこんだこの訳知りなチョッパーは、数々のカスタムビルダーからの信頼を集める福岡のピンストライパー『BOO』氏のもので、ペイントのエアブラシや彫金も自ら手をくだしている。

FRONT FORK

フォークは35φのスタンダードを8インチ延長。汎用のフォークブーツを履かせバイクの雰囲気と調和させる。

GAS TANK

タンクにはハマータンクを採用。フレイムスのエアブラシはオーナーであるピンストライパー『BOO』本人が塗装。

FRAME WORK

ダウンチューブはロッカーカバー付近で1インチストレッチ。加工箇所が分からない高い完成度で仕上げている。

ENGINE

EVOエンジンのロッカーやキックカバーに彫金を施行。S&S製Lキャブにマグネトーの色の濃い組み合せ。

REAR WHEEL

19インチホイールを装着し、キャリパーは’70年代の初期PM製。スイングアームはデュオフレーム純正を採用。

REAR END

在庫のフラットボブフェンダーを加工。幅を詰め、フリンジシートとのボリュームを合わせ敢えて長めに設定。