ハーレー S&S エボリューション 2013のカスタム

HARLEY-DAVIDSON S&S EVOLUTION
DRAG ON

July 6th, 2017

4年前の大作を前に
こぼれ落ちる本音

創業28年が経つ埼玉の老舗ハーレーショップ、ドラッグオン。二代目を務める速水唯(ゆい)さんが修業を経て合流して以降、精彩を増す同店の手掛けたTITANベースの一台は、当時米国でブレイクしたスタイルにメイクされたものだ。

「2000年代に人気が凄かったジェシー・ジェームスとかポールヤフィーとか、あの時に流行ったよねっていうスタイル。ハイテクチョッパーとも呼ばれていたやつですね」

ハーレー S&S エボリューション 2013のカスタム

ボリューミーかつ流れるようなエクステリアで構成されたシルエット。そして、足回りと操作系に惜し気もなく投入した、PM製ビレットを筆頭にするハイエンドなシャイニングパーツ。一歩間違えば成金主義的見てくれに陥りがちなセットアップだが、そこは確かな審美眼を持つ速水さん。ゴージャスさを打ち出しながらも、バイク本来の『造形美』を失うことなく、逆にその美を高めたフォルムへと昇華させている。

ハーレー S&S エボリューション 2013のカスタム

完成形を前に、この手のカスタム特有の隙の無さから、苦労の跡を伺い知るのは容易ではない。なので、ここからは氏の言葉を借りつつ、その辺りを掘り下げていこう。

「メインフレームを覆い込むように、ガスタンク前の下側に鉄板を足して伸ばしてる。本来ボトムはフラットな状態だけど軽くアールを付けて。あとはトンネル部分もやり直してる」

ハーレー S&S エボリューション 2013のカスタム

汎用品だと見過ごしてしまいそうな自然なフィッティング。『やった感』をことさらアピールしない処理がなんともイケている。そして、このマシン最大の鬼門はフェンダー周りにあるようだ。

「大変だったのはリアフェンダーかな。スタイル優先で作ってるからストラットの支持がブレるんです。だから高周波の振動が発生するとこを直すには、ストラット周りに鉄板を貼ったりして。もうごっつくするしかないんですよね」

ハーレー S&S エボリューション 2013のカスタム

重量のあるフェンダーを支えるのはストラット。しかし、構造上、どうしても後ろへ行くほどに剛性は弱くなってしまう。そこで、フェンダー裏とシート下にもサポートを設け、また、その都度叩いて確かめながら、ストラットバッキングに鉄を貼って強度を増していった。

「ただやみ雲に鉄を貼っても野暮ったくなるから、俺なりに見た目を意識してその問題点をクリアした感じだったかな」

ハーレー S&S エボリューション 2013のカスタム

懐かしむように、そして、どこか誇らしげに4年前に製作したマシンを語る速水さんは最後にぼそっと、「良いと思うよ」。滅多に人前で自分の仕事を評価しない氏が、まるで手のひらからボールが落ちるように、不意に言葉をもらした。

HARLEY-DAVIDSON S&S EVOLUTION DETAIL WORK

ハーレー S&S エボリューション 2013のハンドル

HANDLE

車体のアールに合わせた造形のハンドルはワンオフで、マスターはPM製。中央にインジケーターをウエルド。

ハーレー S&S エボリューション 2013のガスタンク

GAS TANK

ウエストコーストチョッパーズ製タンクをモディファイド。塗装はキャンディオレンジのゴーストフレアー。

ハーレー S&S エボリューション 2013のマフラー

MUFFLER

下へベントしたマフラーはお客さんの指定だったと言う、ニュースクール系カスタムと相性の良いドイツBSL製。

ハーレー S&S エボリューション 2013のオープンプライマリー

OPEN PRIMARY

プライマリーとミッドコントロール共にPM製。ハイパフォーマンスパーツならではの燦然とした存在感を放つ。

ハーレー S&S エボリューション 2013のリアホイール

REAR WHEEL

リアホイールとローター、キャリパーはフロント同様にPM製。ストラット付け根の支持部に労力を費やした。

ハーレー S&S エボリューション 2013のリアフェンダー

REAR FENDER

フェンダーにストラットをウエルド。試行錯誤の末、万全の強度を確保する。タイヤは250ワイドを履かす。

BUILDER’S VOICE

DRAG ON

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