
H-D S&S SHOVELHEAD
MOTORI GARAGE
トライトーンが響く
生乾きのパープルヘイズ
この一台が形を成したきっかけは、皮肉にも事故だった。しかし、路上へと再起するなかで、それは凡庸な修理を超え、作り手とオーナーの感性が絡み合った再誕劇へと話が向かった。
骨格に選んだのは、パウコ製の2インチストレッチフレームで、そこに39φ径のフロントフォークを標準より20cm以上長い10インチオーバーで設置。高く、そして細く、サンフランシスコの過酷な坂道や渋滞をすり抜けるために羽化したフリスコスタイルの、凛としたシルエットがここに完成する。

懐には、信頼性の高いS&S製コンプリートエンジンを据えた。また、そこに組み合わされたベイカー製6速トランスが、このマシンの性格を決定付けている。
スポットを浴びせたいのは、スプロケットの丁数調整によるハイギヤード化だ。あえてギヤ比を高速寄りに振ることで、多段ミッションにありがちな1速から3速までの忙しなさを解消。市街地でのギクシャク感を抑え、長距離走行ではどこまでもゆったりと、かつ力強く加速する伸びやかさを手に入れた。

細部にも作り手の熱気が渦巻く。足元のオープンプライマリーは、もともと3インチ幅のクラッチバスケットを、旋盤で2インチ幅まで削り落として改変。フリスコスタイル本領のスリムな車体幅を、無意識的に踏襲した。

また、通常は右側で完結するマフラーを、あえてフロントパイプを左側へ回り込ませた後にリターニング。カスタムスタイルの中でもシンプルを研ぎ澄ませたスタイルゆえに、ひと手間加えたアクセントがことのほかボディブローのようにじわりと効く。

このチョッパーには、昨今のテクノロジーと仲間との絆の双方が織り込まれているのも一興だ。計器には、独国モトガジェット製メーターを配して新時代の知性を吹き込んだ。一方で、アイキャッチのコフィンタンクは、オーナーが所属するクラブのメンバーから譲り受け、修理して使ったものだと言う。
そして、オイルラインにはAN6規格の黒いメッシュワイヤーを採用し、ステアリングダンパーを装備するなど、主体の走りに対する配慮も怠りない。

「乗るとなんだか自分が少し強くなった気がする」。作り手がにこやかに語ったその言葉には、それ以上はどうにも言語化できないチョッパーの核心がある。
事故という不運を自らが焦がれたスタイルに丸め込み、いつの日かそれがネガではないポジティブな出来事として笑い話になる。幸いにも、そういう一台に巡り合える人はなかなか多くはない。
HARLEY-DAVIDSON S&S SHOVELHEAD DETAIL WORK

STEERING DAMPER
機能性はもとより見た目の本気度も増すデイトナ製ステアリングダンパー。ネック部にもフレイムスが入る。

FRONT FORK
フォークは39φ径の10インチオーバー。剛性を高めるスタビライザーにはスクリーミンイーグル製を装着。

FRONT WHEEL
前後ホイールは19/16インチ。前はモーリス製セブンキャストで、後ろはショベルFLHのキャストをセット。

GAS TANK
コフィンタンクはクラブメンバーが昔使ってた物を修理して装着。塗装トップにはクラブのシンボルを描出。

SEAT
乗り心地とデザインに気を配ったシートは宮城県ジミードープによる仕事。ホワイトカラーがひと際映える。

MUFFLER
定石となるミッドハイのポーカーパイプながら、フロントパイプは左側へ取り回して再度右側へ戻るレイアウト。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
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H-D FLH 1969





















