
H-D FL 1962
URAWUS MOTOR CYCLE
神々しいまでに染み入る
矛盾のメタルジャスティス
「サバイバーの新品」――この矛盾をはらんだテーマのもと、1962年式パンショベルが新装された。店主の鈴木さん曰く、「もし、当時に作ったばかりだったらこんなチョッパーだったのでは」。
そんな空想を現代の技術で、「バチバチ」に作り込んだと言うチョッパーだ。目指したのは、当時のアウトサイダーたちが焦がれた気配と、洗練されたショークオリティの相乗である。

マシンの骨格を成すのは、端整なラインを描くシングルダウンチューブのフレーム。そして着眼すべきは、エンジンマウントやアクスルプレートに至るまで、既製品を拒絶し、全てを鉄の素材から切り出した完全なる処女作である点だ。

しかもフィニッシュは、パテによる修正を許さないクロームメッキ。そこで鈴木さんは、シングルダウンだと既存フレームと腹下の形状が違うため、使い捨ての治具までを用意し、レーザーと水平器を駆使して精度を追い込んだ。
また、ダウンチューブやリアアクスル前方には、鉄のシュラウドにアルミプレートを嵌め込んでそこにエングレイビングを描刻。異素材が織りなす冷厳な輝きで視線をさらっている。

外装における沸点は、ガスタンクの「浮かし」の造形だ。表面にフレイムスを描くこのディテイルは、単なる装飾プレートの貼り付けではない。
フレイムス型に切り抜いた鉄板を一度宙に浮かせ、その隙間に帯状の鉄板を溶接して内部を空洞とした、実験的な鈑金技術の結晶である。「丸棒のモールディングではつまらない」と語る氏の矜持が、見た目以上の深みを与えている。

細部にも機知に富んだ良質な才腕が散りばめられている。まず、シッシーバーの先端に鎮座するオーナメントは、既成の鈑金ハンマーをサンダーで整えたものだ。加えて、柄の穴の部分に旋盤で削り出したジョイントを差し込むという発想は、作る楽しさを知る者だけの特権だろう。
フロント周りは41mmフォークをスムージングし、6インチオーバーでセット。アウターチューブのトップカバーはグリップホルダーと同デザインで旋盤加工したもので、ライザートップにはフェンスのオーナメントを流用するなど、異業種材を柔軟に取り入れる思考が業界の観念を軽やかに跳躍する。

オーナーの切望したブルーブラックにピンクの差し色を入れたこの21世紀版サバイバーチョッパー。1960~70年代の息づかいに思いを馳せ、いまの技術で改めたこのパンショベルは、矛盾の中にこそ真実の美が宿ることをひそやかに語っている。
HARLEY-DAVIDSON FL 1962 DETAIL WORK

FRONT FORK
41φフォークは6インチオーバーに。アウターチューブをスムージングしアルミトップカバーは旋盤でワンオフ。

GAS TANK
立体的造形のピンクのフレイムス部分は切り出したプレートを宙に浮かして隙間に帯状の鉄板を溶接して完遂。

ENGINE
オーナー希望のブラックモーター。ダウンチューブのシュラウド表面にアルミプレートを。エアカバーはFORK製。

MUFFLER
マフラーは左右出しのショートタイプ。一次二次駆動ともに剥き出しのチェーンドライブでパンキーな仕様に。

METAL SHROUD
リアアクスル前方のシュラウドは鉄材で単一製作。その表面にアルミプレートを嵌め、エングレイビングを描刻。

REAR FENDER
タンクとは違い2枚のフェンダーを重ね合わせて成形。シッシーバー頂点は鈑金ハンマーをベースに創作した。
BUILDER’S VOICE
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H-D SPORTSTER 1200 1996





















