
H-D FLH 1977
ROGUERIES METAL WORK
コールドゲームで圧する
追いつかない三部作の総点
これまでの経緯をざくっと振り返りたい。兄弟揃ってのサーファーであり、チョッパー乗りである。四兄弟の長男をのぞいた三人ともにバイク乗りで、四男から始まり次男、そして今回の三男宏(ひろし)さんで天野兄弟のチョッパーシアターも最終章を迎える。

そして、兄弟すべてのカスタムを請け負ったのは宮城県『ログリーズ』の齋一家だ。腕と人柄ともに破格の値を指し示した宮城県随一のチョッパー屋だというのは今さら説明する必要もないだろうが、なんと言っても眺めがいいのは、店に訪れるお客さんとの距離感である。

お客さんというか仲間と表現した方がモアベターなそのショップの様子は、はたから見ると、10代の頃に仲間と夜な夜なガレージに集まってはだべり笑い合った、あの楽しく和やかな雰囲気に似たものがある。
ショップとお客さんとの間に仕切りはなく、むしろその仕切りを嫌い、ひとまとめにぐいっと肩を組んで抱き寄せてしまうような大らかな空気が『ログリーズ』には流れている。

その首謀者が齋さんで、親しみやすさと、しかしピリッとした職人固有の緊張感をあわせ持った男だ。今回の天野兄弟の最終バイクの選定にあたっては、大柄な三男宏さんの体躯に合わせ、「大きい人が大きいバイクに乗るのではなく大きいから小さいバイクに乗る」という核心をついた信条にもとづきショベルヘッドを支度した。
「来た時にもうこのバイクが目の前に置いてあったんですよ。やたらと小さいバイクがあるなって。で一回通り過ぎたんですけど帰り際に何度も見てカッコいいなって」

もうこのバイクにしか目がいかなくなったと宏さんは回想する。初ハーレーだからといってひとまずノーマルルックの車両を選ばずに、ひと通り手の入ったチョッパーに妙に食指がくすぐられてしまう。
もうその辺の感性からしてやはり天野兄弟には光るものがあるが、そもそも初ハーレーを買いにディーラーでも大型販売店でもなくログリーズの門を叩くことからしてキレている。そこはよりによって、東北で鳴らしたチョッパー本山のテリトリーである。

海外から仕入れたものをほどほどにリメイクしたチョッパーだそうだ。ハンドルのTバーにジョッキーシフト。潔くフロントはブレーキレスで、その分リアをダブル仕様に。これらわずかな手数でもショップカラーをきっちりと映し出し、見えざる自店の紋を押印した。
かくしてログリーズによる天野兄弟三部作、ここに極まれり。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1977 DETAIL WORK

HANDLE
ハンドルはログリーズのチョッパーに外せないソリッドなTバー。チョッパー屋としての矜持を押しだす部位。

FRONT FORK
74スプリンガーフォークにパンケーキヘッドライトを設置。フロントはブレーキレスのスプールハブ仕様。

GAS TANK
ワッセルタイプのガスタンクに変則スキャロップのグラフィックが入る。トレンドに流されない普遍的色運び。

PRIMARY DRIVE
1.5インチオープンにシフトステーはチェーンを採用。深紅のオルタネーターカバーがひと味効くアクセントに。

MUFFLER
マフラーにはアップスイープのフィッシュテイルが配備。オールドスクールなフォルムに違和感なく収まる。

REAR BRAKE
PM製4ポットを2連でダブルセットし、一つはフロントブレーキと連動。安心したモーションを担保する。
BUILDER’S VOICE
ROGUERIES METAL WORK
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| 電話 | 0224-87-8557 |
| FAX | 0224-87-8557 |
| SHOP | ROGUERIES METAL WORKのショップ紹介 |
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| 定休日 | 水曜日 |

H-D FL 1950
H-D FLH 1980






