
H-D ULH 1937
DEEP DIG
細身で美しい車体の節々に見る
多彩な技とクリエイティビティ
1960’s~70’sチョッパーを下敷きに、時に粗野、また時に美麗と、変幻自在なカスタムマシンを世に放つビルダーの、『ディープディグ』深堀さん。昨年の横浜ホットロッドカスタムショーに持ち込んだ入魂の新作チョッパーをここに紹介したい。
ドナーは’37 ULH。ネックが寝たフレームにロングフォークというマシンがエンジン修理でドッグインしたのだが、オーナーとの打ち合わせの末、大幅なカスタムが決まった。
まずはフレームだ。寝過ぎていたネックをオリジナルに近い角度にリメイク。それにあたり、キャスティング感をそこに再現すること、そして深堀さんが挑戦してみたかったというシングルダウンチューブ化が決定する。
フレームの注目すべき点はリアにも存在する。リアエンドのラウンドテール化だ。こうして前後に大きな見せ場を造ったフレームに、足周りやエクステリアをインストールしていった。
ホイールのセッティングはフロント21のリア18インチ。これは車体をナローかつスタイリッシュな雰囲気に魅せる深堀さんのレシピだ。
フロントエンドは41φのナロー。フォークのレングスは長旅をするというオーナーに合わせ、短すぎず長すぎない6インチオーバーに収めた。
ナローなフォルムを構成するにあたり、ビルダーが苦心するパートのひとつがエキゾーストだ。これもまた、このマシンを語る上で見逃せないポイントと言える。
「一昨年に作ったアイアンショベルに『ガンキャノン』っていうマフラーを作ったんです。フレームの中を通った、均等に突き上げた感じの左右2本出し。それをこのバイクでも作ってます。エキパイの軌道は……楽しみながら造りましたね」と、回想する。
ハンドルやリアフェンダーは幅を詰め、シッシーバーも平板を用いるなど、外装もその細身さに拍車をかける。
さらにこのマシンを紐解いていく上で欠かせないのが車体を彩るペイントワーク。手がけたのは大分県で『Trad Paint』を営むFumi氏だ。
「オーナーさんが『紫がいい』ってことでそれだけ指定して、それ以外は全部お任せでした。『Deepさんのイケイケな感じを表現するから!』って言ってくれて、完成するまで(途中経過を)見なかったけど……仕上がりは最高でしたね」と、深堀さん。
こうして出展されたマシンは、BORN FREE Pickを受賞した。
「まさか貰えるとはびっくりしました!」。このテイストのカスタムカルチャーの本場をも唸らせたマシンで獲得した栄誉。苦闘の日々が報われた瞬間だった。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON ULH 1937 DETAIL WORK
FRAME NECK
このカスタムの肝のひとつ、キャスティング感あるネック。このザラザラ感を出すために『裏技』を使ったという。
ENGINE
美麗な外装に合わせ、エンジンはコンパウンドで徹底的に磨き込んだ。キックペダルはサンライズサイクル製。
PRIMARY
LEEスタイルのスーサイドクラッチ。プライマリーの中身はベルト化。スタンドは大神戸共榮圏のロングスタンド。
SHIFT KNOB
車体とのバランスが絶妙なMOONのヴィンテージノブ。それを回避するように走るパイプの造形もまた美しい。
MUFFLER
マフラーエンドの形状、そしてテールランプのチョイスは、チョッパーに造詣が深いオーナーが指定した部分。
FRAME WORK
ラウンドテールのアールを確保すべく、上下フレームパイプの角度構成には考慮を重ねた。シッシーバー造形も秀逸。
BUILDER’S VOICE
DEEP DIG
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