
H-D PANSHOVEL 1962
LS MOTORCYCLE
謎のベールに包まれた
大陸無双の押し寄せる王朝
ここ数年、年末の横浜ホットロッドカスタムショーに出展しては関心を集めて来たショップである。「この作り込みは半端じゃない」「いったいどこにあるショップ?」と、口々に驚嘆が飛び交う謎のベールに包まれた『LSモーターサイクル』だが、その本拠は中国の杭州市にある。
元々は埼玉の『車坂下モトサイクル』と交流を深めたことに端を発し、その後、精力的に日本のカスタムシーンに足を運ぶようになった。現在は友人としてもビジネスパートナーとしても強固な関係を築く両者だが、カスタムの完成度がまたひいき目抜きにして水際立っている。
‘62年式パンショベルをベースとして、ガスタンクからリアフェンダーへと流れる一体成形のボディラインに、技巧のレベルが鮮やかに可視化されている。
シングルダウンチューブのフレームはワンオフでお膳立てされ、外装はアルミで構築。ガスタンクとリアフェンダーを滑らかにつないだラインは、一枚板を叩きだしたものを周到に溶接してフォーミング。
そもそも、アルミ板を溶接で仕上げていくとどうしてもかなりの収縮と歪みが発生するもので、それは溶接距離に比例して大きくなっていく。それが今回のようにガスタンクからリアフェンダーまでの長程となればその労苦は推して知るべし。物作りに携わる人間ならその程度が痛いほど分かるはずだろう。
もちろんタンクとフェンダーのマウント箇所も決まっているため、そこに付くように鈑金で帳尻合わせするのも容易ではない。
しかし『LS』の心憎いところは、更にこの一体の外装にトリックを仕込んでいる点だ。指数本でタンク&フェンダーが持ち上がる昇降式として、その下に電装系を収納するプレートを配備している。
そして、フレームや一体シェイプばかりでなく、リアのプランジャーサスやフロントフォークといった主要パートに始まり、フットコントロールやマフラーに至るまでをすべて一品で製作。同店の本気の度合いや情熱のほどは、火を見るよりも明らかだ。
「あまり深く考えすぎずに、自分の好きな要素を組み合わせて、まとまりあるバイクにすることを目指しました。最初から明確なコンセプトがあったわけではないですが、今振り返ってみると、この自由な表現こそがこのバイクのコンセプトだと思います」
カスタムは自由。そこに実力もともなっているとすれば、ここから始まる物語に、もう一歩足を踏み込んでみたくなる。
HARLEY-DAVIDSON PANSHOVEL 1962 DETAIL WORK
GAS TANK
アルミ板を叩き出して成形したガスタンク。縁にエッジを立てたりキャップ部を凹ますなど意匠が凝らされる。
FOOT CONTROL
ビッグパートばかりでなく足周りも手抜かりはない。アルミを削り出してスムースなラインで着地させた部位。
MUFFLER
マフラーは左右出しのミッドハイとし、シフトステーやプライマリーカバーなども勿論ワンオフで製作された。
REAR FENDER
タンクからの流れを受けて美しく造作された一体成形のフェンダー。縁取りに立体的デザインを取り入れ完遂。
ONE-PIECE MOLDING
フェンダー側のボタンを外せば指数本で軽々持ち上がる昇降式に。その下に配線系を収納するプレートを配備。
SUSPENSION
ショック機構に自社製プランジャーサスペンションを採用。その前部にはスクエア型のオイルタンクをセット。
LS MOTORCYCLE
住所 | 中国 杭州市余杭区 仓前街道 三仓路8668号 |
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電話 | +8618058184949 |
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