H-D PAN SHOVEL 1953
GRASS HOPPER MOTOR CYCLE
この先を祝う
ユニゾンの響き
ヴィンテージハーレーの修理屋として名の通った『グラスホッパー』。地盤を置く関東はもとより、評判を聞きつけた遠方からの依頼も届く同店だが、店主の山田さんは一見のお客さんだからといってむげに断ることはない。
もちろん自店のお客さん最優先ではあるが、時間がかかっても構わないという新規客であれば、他店の車両であっても同様のサービスでもって応対している。
なので、常に両手いっぱいに仕事が山積するが、その中であっても年に一度の『横浜ホットロッドカスタムショー』のエントリーだけは別だ。日々、修理作業に埋没するなかで、年末12月に向けたショーバイクの作製はここ数年のルーティンにもなっている。
「お客さんのオーダー的には結構な指定があって、4インチオーバーぐらいのナロースプリンガーというのがメインでした。でバイク自体のデザインはあらかた絵を描いてきてもらったものです」
女性がオーナーのチョッパーである。山田さんの同級生の奥さんだということで、自然とカスタムにも熱が入り、シンプルながら近しい人間にだけ流すプレゼントが盛り込まれている。その最たるものがエンジンだ。
当初からショベルヘッドを希望していたオーナーだったが、ちょうどそのタイミングでパンショベルの出物が登場。言うまでもなく探してる人も多い、より希少性の高いエンジンだが、それをオーナーのもとへ損得勘定なくトス。この辺はやはり同級生づたいの強みだろう。
「アメリカで売りに出てるけどどうって? オーナーさん的にはショベルだったらって。どっちでも良いよって感じでしたね(笑)」
一方、外装である。特別なにか凄い作り込みをしているわけではないが、フロントフォークにヴィンテージのスプリンガーを入れたり、模造刀を使ってシッシーバーをワンオフするなど、インフォーマルな中にも年に一度はアメリカのスワップミートへおもむく山田さんの、リアルな機微が添えられた。
鮮やかなブルーのペイントも隅におけない。オーナー自ら細かく指定したというそれは、リボンのグラフィックもあいまって女性的な華やかさと芯の太い神気が同居。男性ではなく異性が走る姿にこそピントが合うような潤いがある。
夫婦揃っての旧車乗り。共通の趣味があるということは、それだけ同じ時間と景色を共有できるということ。管楽器のようなユニゾンの作り出す美しい響きが、ふたりのこの先を祝福している。
HARLEY-DAVIDSON PAN SHOVEL 1953 DETAIL WORK
HANDLE
手前に程よくベントしたハンドルとライザーは市販品を装着。グリップはオーナー持ち込みのナイス! MC製。
FRONT FORK
フォークは米国のスワップミートで見付けてきたヴィンテージの一品。フロントレッグのツイストが個性。
GAS TANK
タンクにナローピーナッツタイプを。塗装はオーナーと厳密な打ち合わせの上でマックカスタムデザインが施行。
MUFFLER
マフラーにフィッシュエンドのアップスイープを付帯。オーナーがある程度イメージを固めていた造形を具現。
REAR FENDER
市販品のリブフェンダーを装着。ワンオフパーツを駆使せずに、感性巧みに汎用パーツでバランスを取っている。
SISSY BAR
ヴィンテージパーツのバヨネット(銃剣)をイメージして、模造刀をベースに単一で製作。リア周りの見せ場に。
BUILDER’S VOICE
GRASS HOPPER MOTOR CYCLE
住所 | 茨城県水戸市杉崎町152-1 |
---|---|
電話 | 029-259-4746 |
FAX | 029-259-4746 |
SHOP | GRASS HOPPER MOTOR CYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 20:00 |
定休日 | 水曜日 |