H-D FL 1946
STANCE
深く思いをめぐらせた
豊潤のエイティーズ浪漫
毎年、米国カリフォルニアで開催される一大バイクイベントの『BORN FREE』。その主催陣から直々にインバイトされて製作したチョッパーである。『Orange Bang』と名付けられたこのナックルヘッドは、年代的には’80年代のオールドハイテックをイメージしたものだそうだ。
「今言うハイテクになり過ぎず、昔ハイテクが始まったぐらいのエイティーズの感じで作ってます。なのでワンオフパーツやパーツチョイスもなるべくその辺の年代の物を使ってます」
作り手の山田さんがベース車に選んだのはナックルヘッド。ショベルやパンヘッドでも別に良かったが、自分自身が好きだということに加えて、これまでショップ的にもナックルに重心を置いてやってきたためそこに迷いはなかった。
エイティーズの息吹はフロント周りから早くも心拍数を上げている。削り出しで製出したトリプルツリーとロアチューブのフロントフォークには、ディスクブレーキをダブルで装着。
またナックルモーターはクランクにUL用を使い、意図的に往年のオールドスクールな手法でシリンダーベースをかさ上げ。排気量はストローカーで1340ccとされた。そこに更に、オイルラインに赤青カラフルなアールズ製フィッティングパーツや、ミクニのソレックスキャブを合わすなど、当初思い描いたイメージの描出に手抜かりはない。
「ボディワークはやっぱり大変でしたね。タンクの造形だったり、タンクとフレームがつながるシルエットだったり、このシートのはまり込んでるラインもそうです。あとは敢えて付けたセルモーターもですね」
タンクに埋め込んだスイッチもオールドハイテックの象徴で、セル周りにはパンヘッド最終のエレクトラグライド用を使ってモディファイ。
エンジンケースやミッションに対してのマウントを作り直し、プライマリーのアウターカバーは現在ほど洗練され過ぎていない’80年代風の美観に仕立てるなど、相応の手数が動員され、理想とした景色へとスパートがかけられている。
そしてペイントは、カスタムカルチャーの巨星エドロスの往年のビートニックバンディットの色使いをモチーフに彩色。勿論ビートニックバンディット自体’80年代ではないが、これはBORN FREEが内包する『時代と時代の融合』という旗印を汲みとって考えを深め、表現したものだ。
カリフォルニアの現地では『Award of Excellence』を受賞。ディテイルひとつずつに何かしらの理由と思考を深めて製作した、エイティーズへの賛歌が濃縮されている。
HARLEY-DAVIDSON FL 1946 DETAIL WORK
FRONT FORK
トリプルツリーとロアチューブのフォークは削り出しでワンオフ。ライザー下部のジュエルがアクセントに。
FRONT WHEEL
ロアチューブはスリットを入れたデザインに成形。リムはボラーニレプリカでオールドキャリパーをダブルで装着。
GAS TANK
えぐりを入れたガスタンク中央にスイッチプレートをセット。フレームとの接合部もなめらかに処理される。
ENGINE
ULクランクを使ったストローカー仕様。昔ながらの手法でシリンダーベースがかさ上げされた1340ccエンジン。
PRIMARY COVER
セル周りは’65年エレクトラグライド用を流用加工。カバーやフットコントロールは’80年代のテイストで製作。
REAR END
フロントからリアへと美しいラインを描出。鈑金、モールディング、ペイントはすべて作り手の山田さんが行う。
STANCE
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