H-D FX 1979
RODSTAR
その一瞬を駆け抜ける
全力のスウィートネス
会津と聞いて背筋が伸びるのは、なにも日本最強の武士団を誇った幕末期に想いを馳せる歴史ファンに限った話ではない。ここに痛烈なまでの作り込みで東北の地で確固たるポジションを築くカスタム屋がある。
『ロッドスター』。その語呂に一種張り詰めた響きが宿るのは、作り手のプライドが常に緊張感をともない、研ぎ立っているからにたがわない。
今回テーマに掲げたのは、『ロングフォークらしくないロングフォーク』だと永井さんは言う。フリスコスタイルとロングフォークとの良いところを探ってみようということに端を発したそうだ。
そこでまず着手したのは、最も大変だった箇所でもあったフレーム修正からである。元々塗装してあった為にそれを剥離して全ての溶接痕に入っていたパテをそぎ落とし、そこから溶接痕を消すために再度溶接を盛って綺麗にモールディング。要はゼロスタートどころかマイナスからのスタートであった。
「アルミの外装にも時間がかかってます。基本、設計図とかを描ける人間ではないんで現物合わせで作ってます。でもそれを作っていくとなると、作ってはいや違うな、また作ってはもうちょっとこうかなっていう、その繰り返しですよね(笑)」
ダウンチューブ下に設けたアルミボックスは、エンジン腰下とフレームとの間に出来る隙間を嫌い配備したもので、中にはバッテリーや配線関係を収納。表面の立体的デザインはひたすらに溶接と切削を経て成形したものだ。まず3mm、4mm、6mmのアルミ棒を用意してそれを各部位に対して臨機応変に措置。すべては手作業の積み重ねで、費やされた労力について触れるのはナンセンスなほど並みでないものだ。
また、オイルタンクのフチも丸棒を溶接して均(なら)したもので、実はその上にもう一枚アルミ板を被せて立体感を描出。そして、シートカウルやタンクパネルの造形もひと手間ふた手間加えたもので、目指した形象に向かって加減することなくその限りを尽くしている。
タンクパネルもとことんだ。丸棒を溶接したフチ取りのみでなく、ガスタンクの3Dペイントをほんのりのぞかせるために中抜きを施工。ハンドソーで切った後にリューターで均しているが、こうした負担の大小をものともしない細やかな処理は同店の甲斐性が発揮されたセクションだともいえよう。
ほどほどを知らない、全力を投げうってたどり着いた華がある。昔から、会津の過激は世間でもふだつきで通っている。
HARLEY-DAVIDSON FX 1979 DETAIL WORK
FRONT FORK
ロングフォークにはやはりナロースプリンガーということで選択。MCペッカーズ製16インチオーバーを装着。
GAS TANK
ワンオフタンクにイザナイによる3D塗装が入る。その柄が僅かに覗けるようタンクパネルに穴加工を施した。
COIL COVER
アルミ製コイルカバーに各ランプとスイッチを集約。後方のオイルタンクはアルミ板を2枚併せて立体感を披露。
BATTERY BOX
アルミ板で製作したボックス内にはバッテリーや配線関係を収納。メンテナンス性も考慮し一カ所にまとめる。
SEAT COWL
シートカウルはアルミ製で、ストラットなどはスチールによるもの。金属の質感が魅惑的なディテイルワーク。
MUFFLER
エキゾーストパイプは当初右2本出しだったものを左右1本出しに変更。エンド部には真鍮チップをアクセントに。
BUILDER’S VOICE
RODSTAR
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