H-D FL 1941
GILD MONKEY CHOPPERS
見ごろを迎える
橙色のオーデコロン
九州南端のヴィンテージチョッパー屋と言えば、何はなくとも『ギルドモンキーチョッパーズ』だろう。今から何十年も前の母材を元にして、その深みのある味わいを余すことなく引き出しつつ現代に再生。原形に漂う残り香を活かした上でのチョッパー製作がお株だ。
「これはですね、全部任せますと言われて作ったものです(笑)。いつもテーマとしては、当時のガレージで仲間内で作った雰囲気のものか、ショップに頼んでちょっと綺麗に作ったものかの二つに分けてるんです。それでこれは小綺麗に作りたいなと」
全部任されるというのは作り手冥利に尽きる話だが、やはり全幅の信頼を寄せられる以上はプレッシャーもある。が、その『圧』をポジティブな方向へ持っていくのもビルダーの力量ひとつだ。
まず是枝(これえだ)さんは、ほどよく伸びたトライアンフ用8インチオーバーをセット。そしてガスタンクには同じくイングランド製の初期型ピーナッツを選び、その流れのままホイールリムもわずかに丸みがあって細いイングランド製で統一した。
「一番時間をかけるのは全体のバランスです。これで言うとフロントフォークに凄い悩んで、長さだったり、合う合わないの相性ですよね。このナックルにうまく溶け込むものを見付けるのにちょっと時間がかかりました」
当然チョッパーだから『荒さ』も欲しいが、今回に関しては小綺麗にまとまった感じも欲しい。そこでほんのり『丸み』を持たせたイメージで下仕事は進行。一方、全体の空気感に調和するワンオフパーツも見もので、同店固有の母材を活かしたムーンサルトがこともなげに発動される。
リアフェンダーである。当初、短くカットし過ぎたフェンダーを伸ばすために、フェンダーチップを意識してもう一枚上に載せて成形したものだそうだが、その着地は見事。シッシーバーにしても頂点に板を貼っただけと言うが、ひと癖ある乙なアクセントになっている。
そして最後に、ペイント。「エイジングはするけど艶は消したくない」という難題にペインターと共に挑み、それを成就させている。フレームなどは昔のチョッパーに見られた色抜け感を再現するため、表面のオレンジがあせてゴールドっぽく見えるように敢えてムラが出るよう塗装された。
行儀よくまとめ過ぎるのはナンセンス。この手のチョッパー製作には外しの美学と、その美的嗅覚が多分に求められる。さしずめ、そこに通じた作り手の春色は見頃を迎えた。
HARLEY-DAVIDSON FL 1941 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルは当時物の幅広なZバー。一度フォーク幅に合わせてナローなタイプを付けたがしっくりいかず変更。
FRONT FORK
個人的にもロングフォーク好きの是枝さんはトライアンフ用8インチオーバーを装着。カバーを外しバネを露出。
GAS TANK
イングランド製ピーナッツタンクに、フレイムス愛好家の氏は上面のみにフチなしの薄いゴールドカラーで依頼。
FOOT CONTROL
クラッチはリーレプリカで、ペンタゴン製ペグのマウント部は同じ風合いでワンオフ。シフトチェーンが雰囲気だ。
REAR END
リアフェンダーの上にもう一枚あてがいフェンダーチップデザインに製作。ライトはガイド製DH-49を選択。
SISSY BAR
派手な造形は好きでなく、シンプルかつ車両に似合う形に製作。頂点に鉄板を貼ることでそこがアクセントに。
BUILDER’S VOICE
GILD MONKEY CHOPPERS
住所 | 鹿児島県鹿児島市小山田町7338-1 下野倉庫2号 |
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電話 | 099-238-3066 |
FAX | 099-238-3066 |
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