H-D FXRS 1982
LOCAL CYCLES
警戒地域で点滅する
ハイブリッドの交信
九州には身震いするようなカスタム屋が何軒かある。そのなかでもここ数年、特に磁力が高いのが熊本の『ローカルサイクルス』だ。始動は2019年と比較的歴(れき)はフレッシュだが、その実力はあなどれない。いや、あなどれないどころの話しではないだろう。
テーマを尋ねれば、ドラッグレーサーをチョッパーの手法で作るとどうなるか、だと言う。店主の永池さんがずっとやりたかったこの一台は、1982年のFXRSを素材にして、基本骨格に手は加えずにメイクしたものだ。
「もともとドラッグレーサーが好きで、そういう前後ベタベタにしたり、低くてちょっと長いようなスタイルがそうかなと思ってるんです(笑)。あと足周りとかの雰囲気も寄せてみた感じですね。マフラーの2イン1のつなぎ目にスプリングを付けたりとか」
敢えてFXRフレームを加工することなく、そこにガスタンクやサイドカバーを造成。チョッパー固有のモールディングのやり方で外装と骨格を一体化させ、フェンダーストラットやマフラーなどの要所は単一で作ったものでととのえられている。
では、細部に目を向けたい。FXRフレームはそのままに、後部のみわずかにカットしてリアサスの取り付け位置を前方に移行。そこに当時のチョッパーに用いられたブーメランステーを再現したワンオフのストラットを設置し、サイドカバーを含めた周りの溶接痕などはすべてモールディングで処理した。
一方、リアホイールはフロントと同じ往年のCCI製が手に入らなかったため、フロントを参考にして、当時の画像を引っ張ってきてまずは拡大コピー。それをリアホイールに貼り付けた後に、同じ位置で穴を開けるというアナログな手段で共通のデザインに仕上げている。
「スイングアームフレームが好きなんですよね。リア周りがごちゃごちゃっとしてメカメカしく見えるのと、基本ぎゅっとリア側が詰まって見えるというか。あとはこういうサイケデリックなペイントをずっとやりたかったんですよ」
昔見た、アメ車のバンに描かれていたグラフィックを参考にして、そこに大分県トラッドペイントの妙味なフレイムスを混合。無二なるハイブリッドなパターンが車体全体をめぐり、格調に相乗効果を生む。
永池さんがどれほど感覚に優れ、構成力の確かな作り手であるかがよくわかる。すべての面におけるバランスの取り方に、見ていて思わず目を細めてしまう。押しつけがましくもなく、言い足りなくもない。采配の見通しも確かだ。
HARLEY-DAVIDSON FXRS 1982 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは純正41mmをスムージングして装着。トリプルツリーはオリジナル商品のストロングツリーを選択。
FRONT WHEEL
ホイールは当時物のCCI製19インチ。しかしリアホイールは無かったためアナログの手法でワンメイクした。
GAS TANK
角フレームを覆うように現行ソフテイルデュース用を素材に加工。ペイントは大分のトラッドペイントが担当。
ENGINE
ストックエンジンにデロルト2スロートを配備。マグネトーは俗にいう横マグをセット。始動はセルオンリー。
REAR END
サス取付位置を前方に移行。そこに単一製作したブーメランステーを設置。サイドカバーなどモールディング。
MUFFLER
マフラーはフーバースタイルに製作。2イン1の接合部にスプリングを配してレーシーさを演出したとのこと。
BUILDER’S VOICE
LOCAL CYCLES
住所 | 熊本県山鹿市鹿央町合里2570‐6 |
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電話 | 0968-41-9085 |
SHOP | LOCAL CYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 19:00 |
定休日 | 第1・3火曜日 |