H-D FXE 1980
MOTORI GARAGE
大胆にあざむく
成功体験の蓄積
「これは車両持ち込みのカスタムで、3年前ぐらいから始まったのかな? そこから始まって、もう触ってない所はないぐらいですね。ちょこちょこやって来て、でもまだ完成形ではないんですよ」
結構雪の降る地域に住んでるオーナーで、冬場の乗れないタイミングで毎年ドック入りさせている。そしてシーズンごとに何かと手を加え、自分が理想とするシルエットへと愛車の姿を重ね合わせているそうだ。
作業を担当するのは、仙台の『モトリガレージ』。年式相応の雰囲気をまとわせたカスタムが冴える同店には、恒常的に胸に熱いものを持ったユーザーが訪れては店主鳥居さんと深みの相談を繰り広げている。
「このバイクのポイントは乗ってて照れくさくないスタイルじゃないですかね(笑)。なんかこう、街に溶け込むじゃないですけど。あとオーナーさんも会ったら分かりますけど、このバイクの感じなんです。分かりづらいです?(笑)」
なるほど。もちろん分かりづらいんだけど、分かるような気もする。バイクを端的に見れば、シンプルなチョッパー。余計なことはしないでバランス良くひとつにされたフォルムが堂に入り、また、控えめだけど主張すべき所はしてる分カスタムに陰影が付いて存在感がある。しったかするなら、きっとその辺のポイントをひっくるめてろ過したところがオーナーの人間像だろう。
つるりとしたレーンではストライクを狙わずに、スペアを決めては着々と点数を稼ぐようなモトリガレージのカスタムの安定度も変わらずだ。フォークはハイドラのグライドフォークの4インチオーバーを装着し、ガスタンクには’78年のアイアンスポーツ用を登用。同じくリアフェンダーにアイアン用を用い、その後ろ回りの背景に合わせてマフラーをワンオフするなど全体的にそつがない。
一方、変哲のなさそうなオイルタンクは実は手間のかかったパートで、ラチェットトップに比べてわずかに高さのあるロータリートップのトランスミッションに合わせ、見た目を変えずに修整。バッテリープレートとタンク下側に逃げ加工を施すなど、ひそかに密な時間が注がれている。
異常な大胆さで犯されるはかりごとというのは、往々にして成功しがちである。白昼堂々だったり正面突破だったり、下手に奇をてらわない正攻法の方が、よっぽどその確度は味方する。だから、モトリガレージのような王道の世界観をトレースする小手先のないショップが成功体験を積み重ねてゆく。
HARLEY-DAVIDSON FXE 1980 DETAIL WORK
HANDLE
ワイドフォークに合わせて汎用のミディアムエイプバーを選択。普遍的なチョッパースタイルを形成する。
FRONT FORK
フォークにはハイドラ・グライドフォークの4インチオーバーをセット。21インチホイールに左ドラムを装着。
GAS TANK
ガスタンクは’78年のアイアンスポーツ用を使用。元々は別のお客さんが付けてた物を譲り受けた箇所だと言う。
OPEN PRIMARY
オープンプライマリーに汎用のフットコントロール周りを調整してセット。下手に飾らずシンプルにまとめる。
SEAT
アイアン用フェンダーはオンエニイサンデー製ストラットで支持。その上にキング&クイーンシートを配備。
MUFFLER
全体のスタイルと良質なマッチングを見せるスラッシュカットマフラー。ブラックアウトで趣を増している。
BUILDER’S VOICE
MOTORI GARAGE
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