MOTO GUZZI Griso 1100 2006
KATSU MOTORWORKS
カフェレーサーの風が舞う
異端のストリートファイター
映画のワンシーンから飛び出してきたような、何ともセンセーショナルなビジュアル。今から3年前、モトグッツィをベースにカフェレーサーを製作し、各国メディアで注目を集めた『カツモーターワークス』が、またもグッツィで新作カスタムをリリースした。
ベース車両はグリーゾ1100。迫力ある縦置きツインの心臓部や、メカニカルなシャフトドライブユニットが眼を引く、グッツィらしさ全開のマシンだ。
「カスタムのコンセプトは……カフェレーサーとストリートファイターの中間というか……」、と話すのはビルダーの勝本さん。欧州で旧くから人気の両スタイルを研究し、自らの味付けでこのマシンを無二のスタイルに仕上げた。
昨年初頭、オリジナルの状態でショップに届いたグリーゾ。すぐにストリップされ、カスタムに不要なフレームやシートレールをカット。勝本さんが得意とするメタルワークを駆使し、新たなシートレールやサブフレームを増設。純正の柔和なデザインは、着実に変貌していった。
今回、勝本さんにとって大きな挑戦があった。それは、アルミによる外装の製作だ。「今までアルミで外装を作ったことがないんです。今回初めてやってみたんですが……ナメてましたね。アルミって溶接も加工も本当に難しくて。簡単に割れちゃうんです」。
初めてのアルミで、初めての車種に挑む。その苦心は想像に難くない。いずれのパーツも、何度も造ってはリテイクを繰り返した。そうして仕上がったエッジの効いた外装は、マシンを一転して戦闘的なスタイルに変えている。
デザインの着想を聞くと、「オーナーが結構飛ばす人なので、それを僕なりにカタチに表してみました」と答えてくれた。
ペイントもこのマシンの大きなトピックのひとつ。フレームとホイール、シリンダーヘッドは妖艶なバーガンディに染められ、ヘアラインの効いた外装と強烈なコントラストを発生させている。このペイントワークも勝本さんの仕事。その多彩さにはいつも驚かされる。
また、フロントエンドを上位モデルから移植、ハンドルは軽量でコントローラブルなドゥカティ用をチョイスし、タイヤはサーキットでも使用されるものを選択するなど、走行性能の面も怠らない隙のなさにも注目したい。
オールドスクールチョッパーを造ったかと思えば、こんなにもスパイシーな欧州車カスタムで見る者の度肝を抜く。そんなカツモーターワークスの次作に、今から期待を禁じ得ない。
(写真・文/マツモトカズオ)
MOTO GUZZI Griso 1100 2006 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはドゥカティ999用のセパハン。ドイツ製ジュラルミンのトリプルにメーターはモトガジェットを選択。
FRONT END
上位モデル『グリーゾ8V』のフロントエンド、そしてラジアルキャリパーを移植。ローターはプロブレーキ製。
EXTERIOR
外装の美しいヘアラインに、勝本さんの苦心の跡を見る。フレームやヘッドにバーガンディの差し色感が絶妙。
SEAT
オーナー指定のアルカンターラシート。ホールド性はもちろん、細身に仕立てることで足付き性も向上させた。
MUFFLER
腹の下で一本になり、エンド部で再度2本に分かれる軌道のエキゾーストは54mmのステンレスパイプで製作。
NUMBER STAY
ナンバーステーはフレームやマフラーに合わせ、1インチと太めのパイプで製作。ウインカーはケラーマン製。
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