H-D FLSTF 1997
KATSU MOTORWORKS
要望に上乗せされる
寡黙なビルダーの多弁な紋様
福岡県の2大都市、福岡市と北九州市の中間に位置する宗像エリアに店を構える『カツモーターワークス』。旧車から現行車まで、時にはハーレーのみならず、欧州車もターゲットにする視野の広さで知られる同店が手掛けたソフテイルベースのチョッパーをここにご紹介したい。
「お客さんが『こういう風に作って欲しい』と持って来られた写真があったんです。ただ、写真のバイクは純正(スプリンガーソフテイル)のフォークが使われていて、タイヤとステムの間が妙に空いているのが気になった。それで74スプリンガーを使うことにしました」
そう話すのは、店主でビルダーの勝本さん。選んだのはゼロデザインワークスのフォーク。不変のルックスを保ちつつ、リンク部分に従来のブッシュでなくベアリングが用いられ、性能とメンテナンス性の面で優れていることに注目してのパーツチョイスだ。
ホイールは前後16インチ。ハブはEVO(エボリューション)用でなく、ツインカムの純正ハブを加工して用いている。EVOにはグリスアップを要するテーパーベアリングが採用されていたが、ツインカム用はシールベアリング。フォークと同じく、この辺りも後々のメンテまでを考えた選択。かつてハーレーの専門学校『赤門』で学び、ディーラー勤務経験もある勝本さんらしい堅実さと造詣が窺い知れる。
ハンドルやタンク、マフラーなど、オーナー指定のパーツも多い今回のカスタム。そんな中、勝本さん側からオーナーに提案したセクションも少なくない。例えばエンジン周り。
「エンジンとミッションのアルミにはブラスト処理をしました。僕はEVO純正のシリンダーや黒い腰下があまり好きじゃないので、腰下を割ってサンドブラストして、微妙に艶が出るガラスビーズでブラストをかけてます」
この工程により、エンジン周りに旧車の雰囲気が増しているのがお分かりいただけるだろう。また、2次ドライブはベルトからチェーンに変更した。
「ベルトの太くて野暮ったい感じを一新できますし、減速比が変えられるのもチェーンの利点だと思って、こちらからお客さんに提案しました」
身綺麗なファッションを好むというオーナーに似合うよう、品のあるキレイなチョッパー作りを心がけたという勝本さん。その言葉通り、均整の取れた端麗なマシンに仕上がっている。
オーナーのパーツチョイスや要望に応えつつ、長年の経験を随所にフィードバックさせた、カツらしい実直さを感じさせる一台だ。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON FLSTF 1997 DETAIL WORK
HANDLE
ハンドルはオーナー指定のZバー。メーターはボディ本体が見えるのを嫌い、ワンオフでマウントを作製した。
GAS TANK
タンクはナローマスタング。タンクやフェンダーなど、漆黒のペイントはビルダー勝本さんの手によるもの。
BRAKE
ブレーキは前後ともPM製。キャリパーサポートはワンオフにて製作。オーナーの希望でFフェンダーも製作。
ENGINE
EG/TMはオーバーホール済み。ハーレーらしい三拍子にこだわるオーナーに、カムとダイナSの換装で応えた。
MUFFLER
サイレンサーはオーナー指定のトランペット。アップスイープされたワンオフのエキパイにバンテージを巻く。
SISSY BAR
タイヤの存在感を強調させるべく細身のフェンダーを用いる。シッシーバーは差し込み式で製作して溶接。
BUILDER’S VOICE
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