陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパー

陸王RT 1956
BUDLOTUS MOTORCYCLE

May 27th, 2022

ゆるやかに助走する
自然体のインターセプト

山口県のカスタム屋と聞いて、何を置いても外せないショップだ。古くから、数々のカスタムショーに出展しては行き届いたディテイルワークで人目をさらって来ている。また、趣味のいいコンパクトなフォルムもまぶしく、地盤一帯では押しも押されもしない高位を確立した存在だ。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパー

昨年開催されたホットロッドカスタムショー2021で『Best Motorcycle Domestic』に輝いた一台である。ベース車両はショーカスタムには珍しく陸王のRT。これは、ちょっと変わったバイクに乗りたいというオーナーの希望を受けて選択したものだ。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパー

「いろいろ見ていた時にこの陸王を見付けたのが最初ですね。元々はイギリスのバイクを乗ってたお客さんで、レースチックなスタイルが多分好きだと思うんですよ。それでまあ前傾というほどではないですけどそういう雰囲気を持たせてます」

創作はその都度打ち合わせを重ねながら進められた。また、当初はカスタムショーに持ち込む予定は無かったものの、苦労して作った箇所が増えていくうちに、せっかくならと出展を思い立ったそうだ。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパー

そこで店主の福永さんにその苦労話を尋ねると、ガスタンクが挙げられた。これはスポーツスター・ローのタンクをベースにした部位で、内部でオイルとガソリンを二つにセパレートしつつ外見を完全に同化させたもの。これをハイトンネル化してシートの機構なども考えた時に、「いったいどこから溶接していけば良いのか」と、意外な壁があったと氏は振り返る。

一方、フォークにホンダCB250T用を流用するがこちらも一朝一夕にはいかない。陸王に使うとなれば当然シャフトなどが違うため、陸王側からステムシャフトを抜いてCB側のシャフトに打ち換え。また、英国のロビンソン製ダブルドラムブレーキを装着するにあたってはスポークを特注で製作依頼。このブレーキに合わせてリムの穴位置なども開けてもらっている。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパー

「ブレーキはお客さんの持ち込みです。だからこれありきで周りを調整してますね。あとペイントはいつも外注なんですけど、今回コロナ禍で塗装屋さんが忙しくて時間もだいぶ押しちゃってたんでこの際自分でやろうと。これは僕が塗ってます」

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパー

普段は専業者に任せるところを今回は必要に迫られて自身で塗装。そして畑違いの分野ながら黒だけではさびしいと、マーブルのグラフィックを追加するなど多才である。しかし、こうしたやればそつなく魅せる技量が、名うての作り手には皆自然と備わっている。

陸王RT 1956 DETAIL WORK

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパーのハンドル

HANDLE

レーシングライクな前かがみのポジションを生むハンドルに一文字バーを。ライザーはカスタムテック製。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパーのフロントホイール

FRONT WHEEL

前後19インチのリムはエキセル製で、特注のスポークをセット。ダブルドラムブレーキは英国ロビンソン製。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパーのガスタンク

GAS TANK

スポーツスター・ロー用を流用加工。内部でオイルとガソリンを分けた構造とするが外見上は一体に見せる。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパーのシート

SEAT

カスタムのアイキャッチにもなるボリュームを持たせた本革のソロシート。ベースから手掛けたワンオフ。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパーのフットコントロール

FOOT CONTROL

一次ドライブを剥き出しとしたフットコントロール。ステップ周りはブルーイングで黒染めして風合いを増幅。

陸王(RIKUO)RT 1956年のカスタムチョッパーのリアエンド

REAR END

フェンダーチップやステーは全体の雰囲気に合わせた造作で成形。ブルーイングで黒染めしトーンが整えられた。

BUILDER’S VOICE

BUDLOTUS MOTORCYCLE

住所 山口県岩国市周東町西長野142-1
電話 0827-83-0432
FAX 0827-83-0433
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