ハーレーダビッドソンボバーのショベルヘッド FXSB 1983

H-D FXSB 1983
WEST VILLAGE CUSTOM CYCLES

January 30th, 2021

夢路をたどる
艶なし単色の生一本

「基本的には、年式は当然お客さんにとって意味のある年式。今回は生まれ年ではないんですけど、一応ちょっとした理由のある年式を使ってます。車種は別にどれってことはないんですけどね」

ハーレーダビッドソンボバーのショベルヘッド FXSB 1983

いきなり意表をつくコメントから始まったのは、三重県の『ウエストヴィレッジカスタムサイクルズ』作のショベルヘッド。普通、車種を優先して年式はその次に来るものだが、ココではそれが逆である。あくまで所有欲を満たす上で重視するのは、オーナーにとって何らかの理由を持った年式というのも一興だ。

ハーレーダビッドソンボバーのショベルヘッド FXSB 1983

1983年式のFXSBローライダーがベースである。そしてオーダーされた内容がまた店主の西村さんの頭を悩ませたところで、端的に言えば、買ったのはショベルだけどナックルやサイドバルブのようなヴィンテージスタイルにして欲しいというものだった。

「希望を見せてもらっても、それはナックルだからその雰囲気は出ないよって(笑)。でもそれが良いってことだったので、じゃあショベルでそれっぽくしようかっていうのがスタートですね」

ハーレーダビッドソンボバーのショベルヘッド FXSB 1983

ナックルやサイドバルブといったヴィンテージバイクは、タンクやフェンダーなどの主要パーツのひとつひとつが既に見栄えが良い。それはそもそものデザインを始め、長い年月を経て浮かび上がる風合いがそうさせるもので、金では決して買えない時間を味方に付けた代物(しろもの)だからこそ希少性も高い。

「ヴィンテージバイクはそのままで十分に格好良い。でもショベルでそれをやろうとするといかにもになってしまうので、そうならないように見せるのが大変だったかな。そこが一番悩みましたね」

ハーレーダビッドソンボバーのショベルヘッド FXSB 1983

まずはガスタンクである。最初から付いてた物をナローに加工して、分割仕様にリメイク。そして次に艶落としで、艶のあるところを徹底的に排除して、鈍い濡れ色を表現。外装からエンジンまで、サンドブラストのメディアをその都度変えて隈なく処理されている。

「メディアって種類によって表面の仕上がりが全然違うんです。荒いのだと表面がざらざらでかっさかさなんで、メディアを細かくしていって仕上がりをさらっとさせてる。つるっとというよりはさらっと」

ハーレーダビッドソンボバーのショベルヘッド FXSB 1983

オーナーが願ったシルエットを金属加工で再現するのと同時に、色というよりはこうした光沢の表現法にも並ならない熱量が注がれている。そしてこの反射する箇所のない吸い込まれるような目にやさしい心地は、求めた通りに、ヴィンテージバイクのそれと響きあう。

HARLEY-DAVIDSON FXSB 1983 DETAIL WORK

ハーレーボバーショベルFXSB 1983のハンドル

HANDLE

ハンドルはエボリューションスプリンガー用を使い幅詰め。ステンレス材の表面をサンドブラストで措置。

ハーレーボバーショベルFXSB 1983のフロントフォーク

FRONT FORK

フォークにパウコ製74スプリンガーを装着。PM製ブレーキキャリパーもサンドブラストで光沢を排除する。

ハーレーボバーショベルFXSB 1983のガスタンク

GAS TANK

ポイントの一つに挙げるタンクは最初から付いてた物を分割タイプにナロード加工。塗装無しのクリアー仕上げ。

ハーレーボバーショベルFXSB 1983のエンジン

ENGINE

ロッカーカバーやプッシュロッド、カムカバーまで全てブラスト処理。ブラスパーツをアクセントに起用する。

ハーレーボバーショベルFXSB 1983のマフラー

MUFFLER

往年のヴィンテージスタイルをブラッシュアップして単一で製作。リアのバナナキャリパーもブラスト済み。

ハーレーボバーショベルFXSB 1983のリアエンド

REAR END

ボバーライクなリアフェンダーに合わせたストラットは一品製作。飽きの来ないシンプルな造形とされる。

BUILDER’S VOICE

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