YAMAHA SR400 1989
HEIWA MOTORCYCLE
磨かれ続ける
完成形の向こう側
またたく間にスターダムを駆け上がり、今や欧州を始めとした世界中のカスタムファンが常に新作を待ちわびる存在となった広島県の『平和モーターサイクル』。今回の一台は、同店がこれまで創作してきたSRの中でも最も手の入ったカスタムだ。
「基本うちの場合はエンジンまでがっつりやる人は少ないんですけど、この人はハイカム組んだりボアアップしたり全部やってます。外観のカスタムプラス、エンジンも完璧にした感じですね」
そこで普通は、エンジンを触るならスタイル的にもレーシーな方向へ持っていくのが慣例だが、このSRは敢えて『平和』っぽさを出した外観に、盛んな走りを組み合わせたものだと主の木村さんは話す。
「見た目の激しさはないけど中身はかなりのパワーがあるよって。外観に関しては基本ほとんどのパーツをワンオフで作って、それらのバランスを取りつつ色味だったりトータルの部分でうちらしさを出してます」
ハンドルやガスタンク、フェンダー、電装ボックスなど外装の大部分を一品製作する一方で、ノーマルパーツも有効利用。前後のキャストホイールとフォークに純正品を使い、フォークのインナーチューブのみチタンコーティングを施行。また、キャリパー&ローターにはヤマハTZR用を流用。
ワンオフパーツとノーマルパーツ、そして他車種からの流用といったワンオフ原理主義に走ることのない柔軟な発想を元にした手順はすっかりと体に馴染み、一つ一つの動作は無駄なくつながり合い、流れてゆく。
同店の美質になる作り込みも健在。例えばガスタンク下の左右に配したブラケット。『見せる』ことを意識したスロッテッドデザインばかりか、ダンパーをかませることでショックを吸収し、耐性も加味した作りとしている。更にステンレスで仕上げたチェーンカバーやフットデコンプといった足周りに至る加減まで、芸の細かさに隙はない。
「最初からフルカスタムでしたけど、そこから時間をかけてちょっとずつ変わっていってます。初期段階に比べたらトルクロッドの所なんかも敢えてああいう風に削ってみたりだとか。オーナーが要望してきたことをその都度カタチにしてますね」
溢れるようなカスタム熱。『今度はここをこういう風にしたい』。このSRは木村さんたちがやらなかったような部分を提案してきてくれる、オーナーと一緒に作り上げてきた車両だと言う。
YAMAHA SR400 1989 DETAIL WORK
HANDLE
ライザー一体のワンオフハンドルは左右をアーチでつなぐデザイン。ストリートユースなポジションを形成する。
FRONT FORK
純正フォークのインナーチューブのみチタンコーティング。ライトはヴィンテージのフォグランプを装着。
CALIPER
キャリパーとローターはヤマハTZR用を使い、サポートはオリジナルで製作。ホイールは前後共純正品となる。
GAS TANK
キャンディグリーンのタンクも単一で創作。タンクを支持するブラケットにはダンパーをかませて衝撃を吸収。
FOOT STEP
ステップ周りも削り出した一品パーツで構成。チェーンカバーやデコンプなども意匠を凝らした作りとなる。
REAR END
気持ち跳ね上げたショートフェンダーで軽快さを演出。フレームとフェンダーはアールを持たせたステーで結ぶ。
BUILDER’S VOICE
HEIWA MOTORCYCLE
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