YAMAHA MT-25 2017
A BEARD
弾けるように緑を拓く
再燃のトラッカースタイル
ヤマハで言えば、SRやXSといった車両がカスタムベースとしては一般的だ。が、まだほとんどのビルダーが踏み込んでいない未開の地にあえて挑んだのは、『ヤマハMT-25』を使った一台。スポーツネイキッドとして2015年のデビューから男女問わずに支持されたモデルが、こうも美丈夫に変幻するんだからかなわない。
「昔トラッカーブームが流行りましたよね。これでもう一度作ってみたいなって。FTRやグラストラッカーでさんざん作って来た中で、今回はMT-25の依頼が入って来た。じゃあトラッカーを作るなら良いよって(笑)」
代表の上田さんはワクワクしながら作ったと、にこやかに回想する。いつも楽しげに当時の様子を語ってくれる氏を前に、その心躍る情景が目に浮かぶようだ。
さて、MT-25ベースのトラッカースタイル。誰も手を付けていないブルーオーシャンの市場にいち早く切り込んだスペシャルは、外装とマフラー、ブロックタイヤが大きな要所だ。
まず外装だが、ガスタンクはハーレーのスポーツスター用を使いコンパクトにリメイク。フロントフェンダーもビンテージ風に勇壮なテイストで製作したもので、特徴的なフロントマスクはオフロード用を素材にして鉄板を叩き出してスタイリッシュな造形に仕上げられている。
そしてマフラーもオリジナルだ。エキパイのワンオフだけでは我慢できず、今回はサイレンサーも単一で製作。一枚の鉄板を曲げて成形していったと言うそれは、内部に2本のパイプを挿入。そこにプレスで鉄板を曲げていきカタチにしたものだ。
「最初は何度失敗してもしょうがないぐらいの気持ちで取りかかったんですけど、意外とあっさり綺麗な造形に出来上がりましたね。ここも市販のサイレンサーにするつもりはなくて、このオーナーのためにオリジナルの物を作るっていう考えでした」
更に、カスタムだけではなく機能面も徹底されている。最近この手の現行バイクはよく電力を消費するという経験から、レギュレーターにフィンをプラスして放熱性をアップ。また、本来ラジエターの両端に付いているシュラウドを外して、そこに削り出しのアルミフィンを装着。冷却効果を上げている。
こうした新しいモデルにも通じた知見をさり気なく、あまりにもジェントルに落とし込んだ上で謳歌するカスタムの宵のうち。人真似を嫌い、誰も渡らない橋を弾けるように進んだその先には、時代をクロスオーバーしたトラッカースタイルの今がある。
YAMAHA MT-25 2017 DETAIL WORK
FRONT MASK
フロントエンドの表情を印象付けるフロントマスクは、オフロード用をベースに一枚の鉄板から叩き出して成形。
FRONT FENDER
ブロックタイヤの無骨な雰囲気に合わせて雄健にフェンダーを製作。ビンテージ風のテイストも加えられる。
RADIATOR
ラジエターの熱を逃がすため本来両端にあるシュラウドを外し、そこに削り出しで創作したアルミフィンをセット。
GAS TANK
綺麗に収められたタンクはハーレーのスポーツスター用を使ったワンオフ。サイドカバーとの一体感も高い。
SEAT RAIL
シートレイルを加工してワンオフシートをマウント。テールライトは市販のLEDタイプを付ける。
REAR END
リア周りの軽快かつアグレッシブなイメージを損なわないようにブラックのナンバーステーを装着。
BUILDER’S VOICE
A BEARD
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