H-D FLSTF 1999
D-club Custom Ranch

色彩豊かに舞いおどる
気丈のツーリングマシン

フレームのネック角を寝かせて、前方へ2インチほど伸ばしたフロントフォーク。そして低く押さえたフレームに合わせてタンクやフェンダーなどの主要な外装をローマウント。鳥取県の『Dクラブカスタムランチ』の手により、1999年式ファットボーイは王道のニュースクール系スタイルに製作された。

「このスタイルは僕が好きやからね。まあどんなところ言われたら派手さやね。近頃はなんでもやりますけど、元々一番多いのはニュースクール系かな」

代表の足立さんが好んだスタイルとあって、昔からこの手のオーダーは多いそうだ。そしてひと目を引く迫力のシルエットに加え、煌びやかなペイントもまたポイントだ。

イエローゴールドを基調にした外装にはチェッカーフラッグのグラフィックを入れ、狙い通りのカラフルなたたずまいを披露。そこに同店のお家芸である多彩なパウダーコートを合わせることで、視覚的インパクトはより高められている。

エンジン周りはブルーとグリーンを使い分けた色味でコーティングし、ホイールやフォークのボトムケース、更にはオイルクーラーやフットボードに至るまでを鮮やかな同系色で統一。他ショップのほとんどのカスタムは金属パーツが素地のままであるのに対して、『Dクラブ』が力を入れるこのパウダーコートは大きなアドバンテージだろう。

さて、ディテイルに移りたい。ホイールはPM製の前後26／18インチを装着し、ディープフェンダーはフロントに既製品を用い、リアはワンオフで製作。前後にストレッチしたガスタンクも同じくハンドメイドで仕上げた箇所だ。そして懐に抱くエンジンはS&S製サイドワインダーの排気量1560ccタイプを搭載している。

「フルカスタムだとだいたいみんなエンジンの排気量上げますね。うちのお客さんほとんどバイク乗り換えないから。ちょこちょこ触りはるから常に変化ですわ。今回もホイールの色変えてくれ言われてね」

飽きたら乗り換えるのではなく、一台と深く付き合うタイプのバイク好きが多い点も特徴だが、そのほとんどが街乗りではなくロングツーリング派という話も捨ておけない。一見ロングには行かないバイクだと思われてるふしがあるそうだが、逆にツーリングにしか使ってないと言う。

「5泊ぐらいのツーリングには行きますよ。みんなツーリングマシンやからね。さすがに年いっててテントの元気はないから旅館ですけど（笑）。九州だとか信州だとかそっち方面が多いですわ」

FRONT FORK

フォークは2インチオーバーでボトムケースをイエローゴールドにパウダーコート。ホイール周りも彩られる。

GAS TANK

数ピースの鉄板をつないで成形したワンオフタンク。ローアンドロングのシルエットに合わせたカタチに製作。

ENGINE

エンジンはS&S製サイドワインダーの1560cc。ブルーとグリーンを使い分けた色味で細部までコーティング。

FOOT CONTROL

プリモ製3インチオープンカバーもフットボードと合わせて塗装。西海岸の晴れやかな雰囲気を色味で表現する。

MUFFLER

マフラーのエンド部とヒートガードはグリーンにパウダーコート。音量を抑えたジェントルな排気音を奏でる。

REAR END

ライトを埋め込んだフェンダーはワンオフで、ツーリング時に有効に機能するサイドバッグも同じく一品製作。