H-D EVOLUTION
GEE MOTORCYCLES
手なずけたトリックで拓く
老舗チョッパー屋待望の新作
福岡市東区、東浜に店を構えて20年あまり。福岡では老舗と呼ばれるカスタムショップ、『ジーモーターサイクルズ』。旧車から現行モデルまで幅広いカスタムビルドを手がける同店渾身のブランニューを、代表でありビルダーの青木さんから話を聞いてきた。
「お客さまからのオーダーは、『ショベルのように気を遣うことなく、セルでエンジンがかかって軽く乗れる感じのバイクが欲しい』というものでした。
以前もエボにEMDのロッカーカバーを載せたバイクを作ったことがあったんですが、今回はそれにエングレービングをやってみようと思いついて、Booくん(Boo Pinstriping福田さん)に彫金をお願いしたんです」
エングレービングが施されたのは、ロッカーカバー、エアクリーナー、カムカバー、キックカバー、ベルトキット。青木さんは福田さんの描いたラフスケッチをベースに打ち合わせを重ねることで、随所に西洋風の唐草や十字架を配した繊細で美しい彫金を表現した。
一方、車体に関しては均整の取れたオールドスクールチョッパーの様相を呈している。「バイクの形自体は定番ですよ。これと言って特別なことはしていないです。ただ、コンパクトには作りたいと思っていましたね。なんというか……『細マッチョ』って感じですか」。
とは言え、このチョッパーの見所は決して少なくない。例えばガスタンク。ピーナッツタンクには丸鋼を溶接したラインが描かれ、造形的な趣を演出している。また、ハンドルはコントローラブルでありつつナローなデザインで車体を引き締め、併せてシッシーバーも細身な作りに完遂。銅管のオイルラインや各所に配した真鍮パーツも差し色となって車体の細部を静かに彩っている。
パーツチョイスにも注目したい。オールドスクールなルックスながら、メーターやハンドル周りには比較的新しいパフォーマンスパーツを用いている。一見すると旧いルックスだが、性能の部分では新たなものをバランスよく配す。新旧のどちらのバイクも手掛けるgee(ジー)の造詣の深さが現れている。
車体のグリーン&パールホワイトのペイントは最後に決まった部分だと言う。当初はフレーク系になる予定だったが、ビビッドな塗装はエングレービングと喧嘩になると判断。清爽かつグラデーションの効いた配色を選ぶことで、車体を唯一無二な存在へと昇華させている。
主張の強い彫金に食われることなく、見事に手なずけた安定のカスタムビルド。一言、美しい一台だ。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON EVOLUTION DETAIL WORK
FRONT CALIPERS
既存の位置を嫌い、キャリパーサポートを加工&移設。ホイールはHリムにブキャナンズ製リップルスポーク。
GAS TANK
端正な造形のタンクにBoo氏によるピンストライプ&ゴールドリーフ。塗装はサイドワインダーズが手掛けた。
ENGRAVING
このプロジェクトの肝となったエングレービング。手掛けたBoo福田さんにとっても、過去最大の仕事となった。
OIL TANK
本体はステンレス、カバーは削り出しのアルミで造られたオイルタンク。バッテリーボックスを兼ねている。
MUFFLER
緩やかな軌道を描き、エンドでややターンアウトするパイプ。真鍮のマフラーエンドはgeeのオリジナルパーツ。
SISSY BAR
車体やハンドルに合わせ細身にまとめたシッシーバー。シートはスタイル・シートカスタムにオーダーした。
BUILDER’S VOICE
GEE MOTORCYCLES
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