HARLEY-DAVIDSON XLH 1978
POWER GARAGE
注意深くコマを進める
ひねりの寡黙なスキーム
エンジンを中心に、ギュっとほどよくコンパクトにまとめられたプロポーション。例えば粘土の塊を、両手にしかるべき圧力をかけてイメージ通りに成形してゆくあの感じに似た、絶妙な力加減が頭に浮かぶ。十分に、淡々と。そんな寡黙に工具を握り続ける職人肌の店主が手掛けた一台には、手から伝わる作り手の体温が静やかに宿っているようだ。
‘78年式XLHを使ったカスタムプランは、『とにかく小さくまとめること』だったと言う。また、全体的に丸くというオーナーの要望を受けて、なるべく外装パーツに曲線を効かせ、やわらかな感じに製作された。
まず、足周りには前後18インチのホイールを合わせ、フォークは名品セリアーニの35φをセット。共にオーナーの希望に応えたセクションで、アイコンとなる2連マウントのヘッドライトも持ち込まれたパーツで対応している。
次にタンクとシートカウルに目を向けたい。店主の浦島(うらしま)さん曰く、「鉄を曲げて作ってます」と率先して必要以上のことを口にしようとはしないが、よくよく見ればきっちり手間暇かけられているのが分かる。
タンクは上から見たところではさほど変わった箇所は見当たらない。でも、下から眺めればその作りの細かさを放っておくことは出来ないだろう。タンクを低く取り付けるために、わざわざエンジンのロッカー部を避ける形状で仕上げているわけだ。言っても特別珍しい作りではないものの、聞いてもそこをあえて主張しないのがなんともいじらしい。
一方シートカウルは見ての通り、いかにも手が入ったデザインで造作される。そしてステップ周りのリンケージや可動部分にも氏の特長が表出する。ひと目で作り込んでるのがくみ取れるパートだ。
「座った時に足が地面と平行になるように、どうしても位置をここに持ってきたかったんです。旋盤使ったり溶接して作ってます。あとは動きがスムーズになるように中にベアリングを入れてますね」
経年劣化や性能を考えれば自然と今のステップの作りになるんだと氏は語る。そこで最後に、『カスタムする上でどんなことに気を付けてるか』を尋ねれば、それまでウラの取れなかった氏の印象の答え合わせが、初めてストンと胸に落ちた。
「まあバランスは絶対なんですけど、一番は雑に作らないこと。かな。ボルトにしても切りっ放しにはしないで切った箇所は旋盤で引いたり。そういうところですかね」
HARLEY-DAVIDSON XLH 1978 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークには伊国セリアーニの35φを。そこにオーナー持ち込みのヘッドライトを上下をずらし2連で装着する。
BATTERY CASE
バッテリーを隠すのではなく逆に見せるようにしたケース。スタッズやリンカート用エアカバーがアクセント。
FOOT CONTROL
オーナーが跨った時の位置に配慮したステップ周り。ステーからベアリングの入る可動部まで丁寧に処理される。
MUFFLER
マフラーはサイレンサーは持ち込み品でエキパイのみワンオフ。シンプルながら動きを持たせ躍動感を演出。
SEAT COWL
苦労した箇所の鉄板から製作したシートカウル。下板は曲線でえぐり、端はライトの形状にかたどられる。
REAR END
持ち込みの18インチホイールにISR製スプロケットキャリパーを付ける。ショックはナイトロン製11.5インチ。
BUILDER’S VOICE
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