H-D XL1200S 2001
Barn field
神の地にある
祝福のプレイヤー
中国地方の西部に位置した島根県。縁結びや福の神として名高い出雲大社のある県として知られるが、そこに唯一にして無双のショップがある。バーンフィールド。全国で第19番目の面積を誇る土地ながら、カスタムに特化したショップがほぼ見当たらない希有な地で胎動する孤高のプレイヤーだ。
「最初に言われたカタチとは全然違うんですよ。本当はもっとシンプルだったんですけど、ショーに出せるタイミングと合ったけん好みを聞いた上で好きにやらせてもらってます」
何故、島根県広しと言えども真っ先に名前が上がるのは同店だけなのか? 四の五の語るよりはこのチョッパーを見ると話しは早い。かいつまめば、実力でもぎとった結果が反映されているだけのこと。
さて、どこから眺めても突っ込みどころは満載。ひとつずつ丁寧にレポートしてたんじゃ日が暮れてしまう。なので、まずは複雑にからみ合ったマフラーから見てみたい。
左側に回したフロントパイプは、右側の小さく円を描いたリアパイプの中を通過させてハイマウント。まるで知恵の輪を思わす有機的デザインの仕上げには、旋盤で削り上げたエンドキャップを装着する。ビルダーの宅和(たくわ)さん曰く、パイプ同士のクリアランスがギリギリだったため、溶接の歪み分も考慮して作るのに苦心したそうだ。
次に、シッシーバーを始めハンドシフトやヘッドライトステーに見られる造形である。この曲線が活発にうごめくデザインは植物から来てるもので、その中でも一番のお気に入りの蔦(つた)からのインスピレーションだと言う。
そして更に、これらパーツの最終仕上げが興味深い。よく見れば、表面はフラットではなく、微小な凹凸が無数に入れられている。この鋳物風の質感は、アーク溶接時に発生するノロ(被覆カス)を取り除くジェットニードルを使ったもので、それを表面にバーッと当てることで独特の風合いを入手。鋳肌をそのまま残してメッキした会心のパートだ。
一方、ガスタンクにしても、表面のリブ加工ばかりかタンク裏側にひねりが加えられた。右下のみにメタルパネルを敷いたそれは、多分にアイキャッチ的要素が強い箇所ながら、その威力は甚大。作り手のパッションは弾けるばかりだ。
全方位、圧倒的な手数を持って掌握されたスキニーなチョッパー。ディテイルばかりに目をやらず、一歩下がった視点で全体のバランスを取って来るあたり、やはりローカル屈指の面目躍如だ。
HARLEY-DAVIDSON XL1200S 2001 DETAIL WORK
FRONT FORK
4インチオーバーのスプリンガーにスクエア型ライトを縦に装着。蔦(つた)をイメージしたステーがポイント。
GAS TANK
ナロードしたガスタンクの表面に丸棒を沿わせてリブ加工。パテ処理やペイントすべてビルダー自らが行う。
IGNITION SWITCH
配線が目立つのを嫌いスイッチ系はシート下に集約。フレーム中央のパイプ内にも中通ししてクリーンさを追求。
MUFFLER
かなり気に入ってると言うブラス製エンドは旋盤で削り出して成形。タイトに絡み合うマフラーが個性を主張。
STAY
ハンドシフトやタンクステーは蔦をモチーフに製作。仕上げはジェットニードルを使って鋳物風に処理される。
SISSY BAR
シッシーバーも統一されたデザインで造作。単にメッキではない鋳物風の質感が全体の雰囲気に厚みを増す。
Barn field
住所 | 島根県出雲市斐川町出西3755-1 |
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電話 | 0853-77-7298 |
FAX | 0853-77-7298 |
SHOP | Barn fieldのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 20:00 |
定休日 | 月曜日 |