BMWバイクR75/6のフルカスタム 1974

BMW Motorrad R75/6 1974
HEIWA MOTORCYCLE

August 8th, 2019

海を越えて着火する
奥深き『和』の流儀

もはやゴタクは無用。国内カスタムシーンのファーストクラスに名を連ねた、『平和モーターサイクル』による華麗なフライトを解析したい。まずベース車はBMWのR75で、ビルダーの木村さん自身、古いBMWを使ったフルカスタムは初めてのことだった。

BMWバイクR75/6のフルカスタム 1974

「エンジンの張り出しのゴツさを活かして、上っ面を細く見せる感じで進めました。ほとんどお任せでしたけど、オーナーが中国の方でそのテイストを入れて欲しいということだったので、ワンポイントでペグなどにそのイメージを出しています」

オーナーの意見を取り入れつつも、基本路線はもちろん、『平和』の真骨頂である作り込みである。なので、例のごとくカスタムのハイライトは多岐に渡るものの、ここでは主に3つに絞って詳細を追いたい。

BMWバイクR75/6のフルカスタム 1974

まず1つ目に、シートレイル。BMWのストックフレームを使った場合、そのままではどうしても細身のタンクは付けにくく、また、例え付けたとしてもミスマッチである。これは高さのないボクサーエンジンだとメインフレームとの隙間が目立つためで、そのスペースを埋めるために今回シートレイルをリメイク。あわせて、その延長線にあるメインフレームとつながる部分もやや後ろ目に位置を変更して接合。純正径と同じ27φのパイプを使い引き直すことで、至ってナチュラルな仕上がりを見せている。

BMWバイクR75/6のフルカスタム 1974

2つ目は、マフラー。よほど注意して見ないと、そのキレた仕事を目視するのは難しい箇所だ。では一体どうなっているのか。左右出しから右2本出しのレイアウトに変わっているのは容易に分かる。が、それを急なアールでエンジンに沿わし、地上高をたっぷり確保しているのはどうだろう。更には、一見ストレートパイプに見えて、実は微妙なメガホン型である。45φから55φへとほんのり後方へボリュームアップしたそれは、単体での主張こそ控え目だが、トータルで見た時のマシンバランスにかなりの威光を放つ部位だ。

BMWバイクR75/6のフルカスタム 1974

そして最後に、バッテリーボックス。エンジン後方の、本来はエアクリーナーボックスの役目を果たす部分をなんと鋳物で製作。『あたかも最初からこんなエンジン造形でしたよ』的な装いに仕留め、そこに素知らぬ顔でバッテリーを収納。直キャブのアドバンテージを活かす見事な離れワザが披露された。

BMWバイクR75/6のフルカスタム 1974

一事が万事そうである。ビルダー木村さんのやることなすこといちいちが、きりりとこめかみを直撃する。そのあまりにも遠い水準での仕事の運び方に、毎度途方に暮れてしまう。

BMW Motorrad R75/6 1974 DETAIL WORK

BMWバイクR75/6フルカスタムのハンドル

HANDLE

これぞ『平和』の面目躍如と呼べるパートの数々である。ライザー周りは手作り固有の脈打つかの造形にメイク。

BMWバイクR75/6フルカスタムのフロントフォーク

FRONT FORK

フォークはカワサキ製をベースに、ボトムケースをスムージング後に加工。ライトカバーはアルミの叩き出し。

BMWバイクR75/6フルカスタムのガスタンク

GAS TANK

悩み所だったナロータンクの装着はフレーム周りをモディファイして解決。グレーのキャンディカラーで塗装。

BMWバイクR75/6フルカスタムのシートカウル

SEAT COWL

手を入れたシートレイルにピタリとはまる形状にカウルをアルミ叩き出しで製作。リベットのアクセントが入る。

BMWバイクR75/6フルカスタムの電装ボックス

ELECTRIC BOX

本来バッテリーがある場所にアルミで成形した電装ボックスを設置。セルスタートとライトのスイッチを配備。

BMWバイクR75/6フルカスタムのステップ

STEP

オーナーの希望に沿ったデザインにペグを製作。マフラーは微妙なメガホン型で、最大限ハイマウントとされた。

BUILDER’S VOICE

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