BMW Motorrad R75/6 1974
HEIWA MOTORCYCLE
海を越えて着火する
奥深き『和』の流儀
もはやゴタクは無用。国内カスタムシーンのファーストクラスに名を連ねた、『平和モーターサイクル』による華麗なフライトを解析したい。まずベース車はBMWのR75で、ビルダーの木村さん自身、古いBMWを使ったフルカスタムは初めてのことだった。
「エンジンの張り出しのゴツさを活かして、上っ面を細く見せる感じで進めました。ほとんどお任せでしたけど、オーナーが中国の方でそのテイストを入れて欲しいということだったので、ワンポイントでペグなどにそのイメージを出しています」
オーナーの意見を取り入れつつも、基本路線はもちろん、『平和』の真骨頂である作り込みである。なので、例のごとくカスタムのハイライトは多岐に渡るものの、ここでは主に3つに絞って詳細を追いたい。
まず1つ目に、シートレイル。BMWのストックフレームを使った場合、そのままではどうしても細身のタンクは付けにくく、また、例え付けたとしてもミスマッチである。これは高さのないボクサーエンジンだとメインフレームとの隙間が目立つためで、そのスペースを埋めるために今回シートレイルをリメイク。あわせて、その延長線にあるメインフレームとつながる部分もやや後ろ目に位置を変更して接合。純正径と同じ27φのパイプを使い引き直すことで、至ってナチュラルな仕上がりを見せている。
2つ目は、マフラー。よほど注意して見ないと、そのキレた仕事を目視するのは難しい箇所だ。では一体どうなっているのか。左右出しから右2本出しのレイアウトに変わっているのは容易に分かる。が、それを急なアールでエンジンに沿わし、地上高をたっぷり確保しているのはどうだろう。更には、一見ストレートパイプに見えて、実は微妙なメガホン型である。45φから55φへとほんのり後方へボリュームアップしたそれは、単体での主張こそ控え目だが、トータルで見た時のマシンバランスにかなりの威光を放つ部位だ。
そして最後に、バッテリーボックス。エンジン後方の、本来はエアクリーナーボックスの役目を果たす部分をなんと鋳物で製作。『あたかも最初からこんなエンジン造形でしたよ』的な装いに仕留め、そこに素知らぬ顔でバッテリーを収納。直キャブのアドバンテージを活かす見事な離れワザが披露された。
一事が万事そうである。ビルダー木村さんのやることなすこといちいちが、きりりとこめかみを直撃する。そのあまりにも遠い水準での仕事の運び方に、毎度途方に暮れてしまう。
BMW Motorrad R75/6 1974 DETAIL WORK
HANDLE
これぞ『平和』の面目躍如と呼べるパートの数々である。ライザー周りは手作り固有の脈打つかの造形にメイク。
FRONT FORK
フォークはカワサキ製をベースに、ボトムケースをスムージング後に加工。ライトカバーはアルミの叩き出し。
GAS TANK
悩み所だったナロータンクの装着はフレーム周りをモディファイして解決。グレーのキャンディカラーで塗装。
SEAT COWL
手を入れたシートレイルにピタリとはまる形状にカウルをアルミ叩き出しで製作。リベットのアクセントが入る。
ELECTRIC BOX
本来バッテリーがある場所にアルミで成形した電装ボックスを設置。セルスタートとライトのスイッチを配備。
STEP
オーナーの希望に沿ったデザインにペグを製作。マフラーは微妙なメガホン型で、最大限ハイマウントとされた。
BUILDER’S VOICE
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