BMW Motorrad R100S 1978
MOTORCYCLE SHOP H.B.C
新と旧。独と米。
多様な要素を共生させる才気
精良なアメリカンカスタムがファンに支持される、『H.B.C』。近年はスクランブラーに特化したブランド『RULER(ルーラー)』を立ち上げ、スポーツスターを筆頭に様々な車種で遊び心溢れるバイクを製作している。今回紹介するのは、同店でも初めての試みだったというBMWベースのスクランブラーだ。
ベース車両は’78年のR100S。ネックに刻まれた「Made in W-Germany」(=西ドイツ製)の表記は、ドイツがかつてベルリンを境に二分されていたことを思い出させる。そんなヴィンテージだ。
そこでほどなく、カスタムの経緯を店主の橋辺さんが話してくれた。「オーナーさんが『修理を兼ねてカスタムしてほしい』と、中古で買ったノーマルを持って来られて。それまでBMWを扱ったことが無かったから、知識ゼロの状態からのスタートでした」。
今回の指針の一つが、BMWらしさを損なわないこと。『らしさ』を如実に感じさせるタンクやホイールは純正を保持。これらともすれば野暮ったさを感じさせてしまう’70~‘80年代のモーターサイクルデザインを、持ち前の金属加工とパーツチョイスで精悍なバランスに仕上げているところに注目したい。
例えばテールセクション。シートから後ろのフレームはワンオフで製作されているが、そのフレーム形状は純正フレームに違和感なく馴染むようにデザインされている。「やり過ぎないように、BMって一発で分かるように作りたかった」と橋辺さんが語るように近年のファクトリーカスタム然としたスタイリッシュさを呈している。
随所にアメリカンの要素がフィーチャーされているのもユニークなポイントだ。フロントエンドは頼りない純正フォークから高性能なスポーツスター 1200Sのカートリッジフォークに変更。剛性を増し、走行性能を高める。
それに伴い、ハンドル周りはH-D用のインチバーをセット。コントロール系には欧州のパフォーマスンスパーツを奢る。エンジンやタンクなどヴィンテージなBMWの佇まいを残しつつもデジタルメーターやLEDの灯火類を用いて古臭さを感じさせないあたりも心憎い。
初挑戦のマシンに、ショップの得意分野を注入して仕上げたカスタム。「ごちゃまぜな一台ですよね」。橋辺さんはそう笑うが、これまで数多く手がけたスクランブラーのメソッド、そして長年アメリカンカスタムで培ったカスタムパーツへの造詣の深さを武器に、この美しいワン&オンリーをフィニッシュする技量には驚かされるばかりだ。
(写真・文/マツモトカズオ)
BMW Motorrad R100S 1978 DETAIL WORK
HEADLIGHT
H-D純正フォークで剛性を増したフロント周り。欧州産のヘッドライトはLED化。ステーとグリルはワンオフ。
HANDLE
ビルトウェルのライザーにモトガジェットのメーターをマウント。ハンドルはさりげなくガンメタに塗装する。
GRIP
モトガジェットのスイッチ類、グリップ、ウインカー。ミラーはCRG製。クラッチレバーはブレンボを選択。
GAS TANK
オリジナルのタンクをブルー&ガンメタに。オレンジのラインが鮮烈。塗装はガンズカスタムペイントの仕事。
ENGINE
エンジンはブラックアウトされる。艶と半艶、リンクル塗装を施すなど、複数の黒でコントラストを演出した。
REAR SUSPENSION
RサスはオーリンズのVロッド用、ブレーキ類はPM製をチョイス。サイレンサーの特異な形状が個性を放つ。
BUILDER’S VOICE
MOTORCYCLE SHOP H.B.C
住所 | 福岡県朝倉市来春369-1 |
---|---|
電話 | 0946-23-9408 |
FAX | 0946-23-9409 |
SHOP | MOTORCYCLE SHOP H.B.Cのショップ紹介 |
営業時間 | 9:00 ~ 19:00 |
定休日 | 月曜日 |