H-D SHOVELHEAD SPCN
KEN’S FACTORY
テクニカルが止まらない
極彩色のオンリーアーリー
テクニカルなカスタムにおいて、今や国内シーンでは独走状態にあるケンズファクトリー。5馬身差以上引き離した圧勝レベルの作り込みは常に深化を続け、大御所でありながら決して保守に回らない攻めの姿勢を貫き、声威をふるっている。
「これは面白いのはリアキャリパーかな。2つ配管が入って来てるでしょ。それ中身は6ポットで、後ろの4ポットが足のブレーキ。前の2ポットをフロントのブレーキレバーで動かしてる。だからフロントにはブレーキが付いてない」
代表の永井さんは昔ながらの職人気質な口数で、淡々と、自分のペースを乱すことなく言葉を発してゆく。曰く、ジョッキーシフトだと坂道で困ることがあるための2ポットだそうだ。また、制動を司るこのインボードディスクも過去に何台も手掛けてきたことで、材質やキャリパー自体のしなり具合も確認済み。市販するには基準の高い制動装置でありながら、もう実現できるところまで来ている。
タンクやフェンダーをフレームに固定する箇所も、実に『ならでは』だ。リアフェンダーが分かりやすいが、フェンダーとフレームとの間にアルミのスペーサーを挿入。これは、金属同士をそのままくっ付けた時に塗装がグニュッといくのを防止するもので、内部にはラバーが仕込まれている。塗装面が直接当たらないようにするのと、振動でクラックが入る心配もないこのラバーマウントは、フェンダー、ガスタンク、オイルタンクすべてに施行。ケンズのカスタム美学を支える重要なセクションとなっている。
更にシート下のリンケージも辛抱ならない。通常のものより一つ多いリンク構造は、見る者の視線を欲しいままにする。この、氏が昔から好んで用いる機構は、見栄えの良さはもとより、理にかなった構造ゆえのセットアップだ。
「これだったらショック位置が動かないし、最大限固定した状態で力を伝えられるから一番スムーズ。スプリングの硬さを選ぶのは大変やけど、これはスプリングレートを計算して、座るピボット位置と後ろのスプリングの距離をまず計算していくんやわ」
それを受け、乗り手の荷重を踏まえて、個々のリンクや角度、押す方/押される方の比率といった数値を緻密に弾き出してレイアウト。この理詰めのテクニカルパートは、まるで『機能美』を辞書で引いた際の模範解答的佇まいでまばゆく発光する。そしてケンズカスタムに至っては、これらが全編に渡って披露されるもんだから目がくらむ。
H-D SHOVELHEAD SPCN DETAIL WORK
FRONT FORK
アルミ削り出しのオリジナルガーターフォークをワンオフ。操作性の高い同店の十八番的キラーパーツ。
GAS TANK
内側にゆるく絞ったタンクはトップのオーナメントも含めてアルミで成形。ラバーマウントでフレームに装着。
LINKAGE
すべて機能性に基づいた構造となるリンケージ。乗り手の荷重に合わせてメカニカルに可動するオンリーワン。
MUFFLER
ヒートガードまでにも造形美が宿る。鉄製ターンアウトマフラーやフットコントロール周りは白銀で統一。
REAR FENDER
アルミ製フェンダーのアクセントになるサイドのデザインは、エンドミルで掘り込んだ後にクリアーで処理。
REAR END
同店のエルミラージュホイール23-3.75を装着。キャリパーは前後兼用6ポットでインボードディスクを採用。
BUILDER’S VOICE
KEN’S FACTORY
住所 | 愛知県名古屋市中川区中郷3-312 |
---|---|
電話 | 052-354-6122 |
FAX | 052-363-2024 |
SHOP | KEN’S FACTORYのショップ紹介 |
営業時間 | 9:00 ~ 18:00 |
定休日 | 木曜日、第1・3水曜日 |