YAMAHA SR400 1995
THE WACK CUSTOM MOTORCYCLE
冥利に尽きる
寄せない進化系
「チョッパーっぽい雰囲気を残しつつ、ちょっと林道に行けたり、泥っぽいところも楽しめるようなバイク。オールラウンダーじゃないですけどそういうイメージで作りました」
昨年開催されたチョッパーの祭典、『2018ニューオーダーチョッパー』で第2位の栄冠に輝くや、一気にその名を全国区に知らしめたショップの’95年式SR400。そこで店主の加藤さんにバイクの説明を求めると、決して流暢ではないものの、言葉ひとつひとつに人柄が現れるような真摯なコメントが返ってきた。
「うーん、そうですね……(笑)。難しいですけど、完全にヴィンテージモトクロスのような方向に寄せるんじゃなくて、やっぱり僕チョッパーにこだわってるんでそれとの中間のような雰囲気というか……。ごめんなさい、下手で(笑)」
氏の場合、しっかりと頭の中で考えたことを口にするまでのある一定の間に説得力が宿る。聞かれた質問に対して丁寧に答えたいという姿勢が、そのわずかな沈黙のなかにありありと見て取れ、それが一本気な印象を決定付けている。
さて、バイクに視点を移そう。まずリアショック上側の装着箇所を英車風にしたかったことから、古めのBSAを意識してプレート付きのパイプを接合。それに合わせてシートレールを作り直し、ショックマウント位置も変更して足付き性を向上させた。
そしてフォークは純正を使うものの、フォークカバーは名車メグロから流用。そのカバー下に切り出したステン板を巻くことでシルバーのアクセントを加えている。一方、操作性の高さを想像させるプルバックハンドルはカワサキW1の純正で、タンクはアエルマッキ製とおぼしき物を幅詰めしてメイクアップ。こうした新旧問わず、多様なメーカーパーツを抵抗なく取り入れる思考の柔軟さも、同店のポテンシャルを限りなくするファクターのひとつだろう。
「いろんな車種からのパーツのアイデアですか? まあ単に古いバイクが好きなんで、メグロにしてもそういえばフォークカバーが付いてたなって。そんな感じです」
チョッパーが好きで、土っぽいスタイルも好き。個人的にお気に入りだと話すこのSR400は、取材当日の朝に、オーナーの元から借りて来てくれたものだと言う。そこでどんなオーナーなのかを何の気なしに尋ねれば、今回一番話しにくそうに、でも一番やわらかな表情でこう飾ってくれた。「……自分で言うのもあれですけど彼女というか。もうすぐ奥さんになる人のなんです(笑)」。
YAMAHA SR400 1995 DETAIL WORK
HANDLE
フランダースライザーにハンドルはカワサキW1純正を選択。メーターはSR400初期型のブラックタイプ。
FRONT FORK
ノーマルフォークに名車メグロのフォークカバーを流用。その下にステン製プレートを巻き付けてアクセントに。
FRONT WHEEL
ホイールは21インチに変更し、車種不明のドラムを装着。フェンダーも同じく不明でワンオフステーで支持。
GAS TANK
アエルマッキ製と思われるタンクの幅を詰めて加工。ペイントは店主の加藤さん自らが行っているパート。
MUFFLER
ハイマウントのエキパイはワンオフで、MCM製サイレンサーも加工して装着。土っぽい雰囲気を醸すデザイン。
REAR SHOCK MOUNT
リアショック上側のマウントは、英車BSA風のテイストを出すためプレート付きのパイプを切り出して接合。
BUILDER’S VOICE
THE WACK CUSTOM MOTORCYCLE
住所 | 岐阜県関市東田原489-4 |
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電話 | 0575-48-0428 |
FAX | 0575-48-0428 |
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定休日 | 月曜日、第2・4日曜日 |