H-D FXWG 1983
DEFI MOTORCYCLE
ホイールに端を発した
新旧融合のショベルチョッパー
陽の光に映える、爽快なエメラルドグリーンが眩しいショベルヘッド・チョッパー。製作は『DEFI(デフィ)』。大分県の南側に位置する佐伯市に店を構えている。
「最初はホイールから始まったカスタムなんです」、と話してくれたのは店主でビルダーの濵野氏。その言葉を受けて目を移すと、特徴的なホイールが履かされている。ブランドは米国カリフォルニアのColorado Customで、独創的な2輪/4輪用ホイールを製作し、ホットロッドやバガーの世界では知られた存在だ。
DEFIのチョッパーが履くのは同ブランドのMemphisと名付けられたモデル。黒のパウダーコートが施されたどこか近未来的なルックスが特徴となる。しかし、本国のハイテク系、あるいはバガー系カスタムで目にすることはあれど、国内の旧車ベースのチョッパービルドで用いられるのは稀なケースだろう。
「エンジンはショベルで、ホイールはコレを履かせるわけですから、オールドスクールとハイテクを混ぜたようなイメージで作ろうと考えました」
フレームはパウコ製をストレッチ加工。フットコントロールはワインディングも快適に走破できるようミッドコントロール化。ドラッグバー然としたワンオフハンドルと相まって、前傾みの好戦的な乗車姿勢を形成している。
フロントフォークはジョイライド製4インチオーバーのガーター。元来はミニドラム用のタブが設けられているが、今回はディスクブレーキを装着するためにそれを素地のまま送ってもらい、キャリパーサポートなどは製作後にメッキに出したそうだ。また、マシン全体のナローな雰囲気を保つべく、ストックのガーターに使用される特徴的なトリプル部両側のスパイクナットを排し、フラットな皿ネジでクリーンに変換。スムースになったトップ部は、前時代的なギミックを持ったフォークにも関わらず近代的に映るから不思議だ。
ナローな車体構成は他にも、スポーツスタータンクを幅詰めしたタンク、軌道を内側に走らせたマフラー、極力薄く作ったシッシーバーのマウント部など枚挙にいとまがない。
ことタンクに関しては面白い話が聞けた。それは、トップ部に存在するリブだ。どのような加工を施したのかを訪ねれば、「これね、ホームセンターで売ってる玄関サッシのレールなんですよ。削り出しってのも考えたんですけど、同じ鉄だから使えるな、って(笑)」。そのユニークな着想と柔軟なセンスには唸るばかりだ。
かくして誕生したこの一台。前述の『オールドスクールとハイテクとの融合』。それは、眼前のチョッパーで確かに表現されている。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON FXWG 1983 DETAIL WORK
HEAD LIGHT
スパイクナットが消えたトリプルは別物のようにスムース。ヘッドライトはCrime Scene Choppersを使う。
FRONT CALIPER
フロントは21インチ。PM製キャリパーにW&W製8インチローター。ガーターへの適度な制動力を求めた。
GAS TANK
ナロードされメーターを埋め込んだタンク。ハンドルはオーナーの体格に合わせ、ややプルバックさせている。
MUFFLER
ミッドコンに合わせ、乗り手の脚を避けるよう創られたパイプの軌道。機能美という言葉が合致する箇所だ。
SPROCKET BRAKE
リアブレーキはPM製スプロケットブレーキ。スタイルが製作したシート下に見えるのはウインカースイッチ。
SISSY BAR
多角的なデザインのシッシーバー。面を多く作ることでライトアップした際に光が乱反射し、煌びやかさが増す。
BUILDER’S VOICE
DEFI MOTORCYCLE
住所 | 大分県佐伯市弥生井崎5-20 |
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電話 | 0972-46-0509 |
FAX | 0972-46-0509 |
SHOP | DEFI MOTORCYCLEのショップ紹介 |
営業時間 | 10:00 ~ 18:30 |
定休日 | 月曜日、第1日曜日 |