HARLEY-DAVIDSON FL 1941
PRIDE ROCK MOTORCYCLE
足場を固めた
傭兵気質のスナイパー
ゆったりと、深みのある声色で話す店主の大脇さんには、聞き手を引きこむ力がある。背筋を伸ばして受け止めなければいけないような緊張感と、相反した、その場で一服つけたい妙な居心地の良さが漂う。
「思い入れがあるって聞かれたらまあ結構がんばった、作り込んだバイクなんで(笑)。これは70年代のチョッパーショーから蘇ったようなイメージで作りました。タンクはワンオフで、当時こういう形のがあったんだけどそれを再現してバランスを合わせてる」
バットウィングタンクと呼ばれる往年の名品では小さすぎてアンバランスだったため、まずは方眼紙で型を罫書き、そこから鉄板を切り出して製作にあたった。ちなみに、一度作った物では納得いかなかったので再度作り直したという苦労が染み込んだパートだ。そして次に、特徴的なハンドルに話題を振ってみた。
「これは結構昔にスワップミートで手に入れたもので、強烈なハンドルだなって。それでこのハンドルありきでちょっと気持ち悪いバイクを作りたいと思ったんですね。普通のバイクに付けても変なんで(笑)」
スキモノの心に刺さる鮮烈なインパクトだ。また、それに合わせた20インチオーバーのバッズ製ロングフォークやアリス製2連ヘッドライト、前後18/16インチのインベーダーなど、バックグラウンドの固め方もこなれたもの。造詣が確かな分、帳尻ががっちりと噛みあい、全体のシルエットが違和感なく前面に浮かび上がってくる。
一方、フレームのモールディングもボディブローのようにじわりと効き、仕上げのペイントへと滑らかにトス。担当するのは、氏が信頼を寄せる空筆(からふで)で、鉄板の貼られていない丸パイプを四角くして欲しいという無理難題に対しても、可能な限りで応える腕利きだ。
『わかった風』ではなく、過去の資料を丁寧に紐解いた上で初めて作業に取り掛かる。この一台にもそんな大脇さんの一貫したスタンスが踏襲され、二人で話し合った上で柄は決められた。
「ペイントは、最初お客さんからフレイムスを入れたいって言われた。でも当時って、フレイムスだと’50年代とか一気に飛んで’80年代後半が多いんですよね。この年代だとどちらかと言うと、こういうリボンが主流だからその辺も忠実に再現したかった」
無欠に仕留めたセブンティーズ。厚い雲の隙間からのぞく陽射しに乱反射する、かつてのチョッパー全盛の幻影が目に染みて、足元がふらつく。
HARLEY-DAVIDSON FL 1941 DETAIL WORK
HANDLE
一度見たら頭から離れないインパクトを持ったハンドル。このハンドルありきでカスタムは進められた。
HEAD LIGHT
ライトはアリス製を2連で装着。この当時のセットアップの再現と、オリジナリティの併せ技が同店の武器。
GAS TANK
一度ならず二度も作ることになったバットウィングタンクを参考にした一品。鉄板を何枚も繋ぎ合わせて製作。
ENGINE
1200ccのモーターにカバーはAEE製を選択。キャブはリンカートM35のデュアルでマニホールドはワンオフ。
SISSY BAR
シッシーバーはAEE製をベースにしたワンオフ。ハイバックシートはヴィンテージのチーター製を載せる。
MUFFLER
マフラーはワンオフで、エンドのみシューペリア製トランペットをジョイント。安定のディテイルワーク。
BUILDER’S VOICE
PRIDE ROCK MOTORCYCLE
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