YAMAHA SR500 1987
2%ER
わっぱをあやす
オジサン砲
ぐるっと全国を見渡し、傍目にもブーストしてる感がバンバンに出たショップである。ことSRカスタムにおいて、今や必ず名前の挙がる『ツーパーセンター』。弾けるかのパッションを秘めた、店主山口さん率いる滋賀県のホットスポットだ。
今回の’87年式SR500を使ったカスタムのテーマは、『今どきっぽくないチョッパー』。なんでもかんでも細くまとめるのではなく、その逆も十分に見栄えが良いことを証明するために挑んだ一台である。
「タンクやスプリンガーフォークなど全てをナローにするんじゃなくて、ワイドでもきっちりまとまる車格がSRだと思う。だから今の風潮に対してのアンチテーゼですよね、ちょっとオジサンくさいというか(笑)。細ければ良いわけではないので」
この場合、オジサンくさいは『大人』と同義語である。さすがに日々あらゆるSRと対峙しているだけに、押さえるべきツボは的確そのもの。ピンポイントで注入した感性が、大人のチョッパーの名に相応しいフォルムを形成する。
同店のカスタムを語るとき、乗り手の視点に立った丁寧な作り込みは欠かせない。まずタンクは、ヴィンテージ物の美点を深く理解していながらも中が錆びたり鉄板が薄くなっていることが多いためにリメイク。微振動の多いSRではクラックが入りやすく適さないため、そのヴィンテージから型を取って一枚板で製作し、更にラバーマウントで固定するという細心のケアがなされている。
リアフェンダーも相当だ。一見、変哲の無い見た目だがその裏にツーパーセンターの本気が凝縮。なんと、フェンダー裏にはサブフレーム的にパイプが縦横に這わせられ、万全の補強が敷かれている。そしてその補強に対して、穴を開けたりネジを切ってマウント。自らが長距離を走ることで得た体験をフィードバックした作りが、フェイクを寄せ付けない完成度を誇る。
「ウチのやり方としてリアフェンダーを『物』として考えてないんですね。だから裏側は結構複雑。あとはボルトオンハードテイルも、SRの丈夫なエンジンで綺麗な三角形が描けたらカスタムの幅も広がって皆に楽しんでもらえるかなって思って開発したものだし」
ミッドハイのジョッキーシフトも同じ理由でリリースしたもの。ただただ、バイクを楽しみたい。そして、楽しむためにカスタムはどうあるべきか。混じりっ気のないストレートな感情の解釈が、このチョッパーには極めてシンプルに反映されている。
YAMAHA SR500 1987 DETAIL WORK
FRONT FORK
ナロー化が大半を占める今のトレンドの中で、敢えてのワイドスプリンガーを選択。DNA製の12インチオーバー。
GAS TANK
コフィンタンクはヴィンテージを模したワンオフ。ペイントはオーナーたっての希望で店主の山口さんが担当。
FOOT CONTROL
操作系は同店の人気商品であるミッドハイのジョッキーシフトキットを装着。色は他にパーカライズ有り。
HARD TAIL
ボルトオンのハードテイルキットは5cmのロングホイールベース化で、直進安定性が増すオリジナル商品。
MUFFLER
今までに見たことのない形にして欲しいとのオーダーを受けて製作。鈑金で四角く成形したアップタイプ。
SISSY BAR
オーナーが絵を描いて来たものを高さのみ調整して、そのまま要望通りに角材で仕上げたシッシーバー。
BUILDER’S VOICE
2%ER
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