TRIUMPH TIGER100 1939
TRIDE MOTORCYCLES
生々しい傷跡残るダートラは
サンデーレースの本気仕様
トライアンフにライドするで、『トライド』。ストレートなネーミングの通り、トライアンフを専門に扱う東京都江戸川区にあるショップの1939年式タイガー100である。
「そもそもはフランスで新車で売られたバイクで、その後にアメリカへ渡ったみたい。このバイクでレースに出てたというのは聞いてるんだけど、何のレースかまでは分からないですね」
米国から輸入してまだ実作業に入る前の1台で、手を加えた箇所といえばヘッドライトを付けたぐらいだと店主の大石さんは言う。元々はかなり古いバイクにも関わらず、レストアされていない珍しさに惹かれたのと、乗り慣らされたリアルな匂いが漂っていた点に氏の物欲センサーがビンビンに反応。修理は同店の得意分野だし、ほぼオリジナルのコンディションを保持したタイガー100などは滅多にお目にかかれる代物ではないためそのまま購入に至った。
「ハンドル、タンク、シート、フェンダー、ほとんど純正だと思う。外装のいらない物を取っ払ってマフラーだけ換えてレースに出てた車両ですね。ワークスとかじゃなくてサンデーレーサー。でも、かなり本気なやつが乗ってたっぽいところがあるんです」
ロードやモトクロス、サンドフラッツ、そしてサンデーレースと、様々なレースに参戦するお客さん達を全面的にバックアップする同店の目に掛かれば、その車両がどんな乗り方をされていたのかなどは一目瞭然。例え国は違えど、同じ土俵で遊ぶ同士だからこそ乗り手の本気度合いまでもが手に取るように分かってしまう。
「何のレースかは聞いてないけど、ヘッドライトとフェンダー、テールランプ、そして前のブレーキが付いてないから多分ダートラだと思う。左側のステップもちょっといじってあったし、それに何といってもタンクが凹んでますからね」
その言葉通り、タンクの左側はポッコリ窪んでいる。これはハンドルを目いっぱい切って果敢にコーナーを攻めなければ容易く付くものではない。また、バイク全体を見渡せば生々しい傷跡が残り、アグレッシブなライディングを想起させる『匂い』がプンプンに立ち込めている。
更に、左側から見るとよく分かるが、エンジンとオイルタンクの間にあるはずのジェネレーターが取り除かれ、そこはぽっかり空洞になっている。実際はジェネごと取るとマグネトーが止まらないので、中身だけ抜いて側を押さえに使っているのだが、これはちょっとでも抵抗を減らして軽く回すための『通』な手法だ。大石さんによれば、これだけで数馬力の違いが出てくるそうだが、やはり『本気』のライダーでなければここまでする人はそう多くはない。
こうして、リアルなバイクに惹かれる店主が、このタイガー100を前にビンビン来てしまうのは致し方ないことなのである。
TRIUMPH TIGER100 1939 DETAIL WORK
GIRDER FORK
ハーレーカスタムでも用いられる純正ガーターフォークにミラー製ヘッドライトを左にオフセットして装着。
HANDLE
純正のハンドル周り。1939年当時、ストックでこのクオリティであればカスタムの必要は無いのが分かるだろう。
GAS TANK
左サイドがぽっこり凹んだ、乗り込んだ雰囲気溢れる純正タンク。右側の油圧計はインディアン製に変更。
ENGINE
エンジンは500cc。キャブはアマル276がセットされる。経年劣化したクランクプレートの風合いが見ものだ。
SEAT
エイジング加工では決して成しえない当時物のテリー製サドルシート。座り心地良さげなスプリング長である。
MUFFLER
エキパイは純正で、エンドの直線部分はロウ付けで丁寧に処理されたワンオフの逸品。前オーナーの仕事である。
BUILDER’S VOICE
TRIDE MOTORCYCLES
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