HARLEY-DAVIDSON FL 1941
BLACKTOP MOTORCYCLE
ゆるさから飛躍した
マニア専科の導線
「最初はフレームとエンジンとミッションだけのバスケット状態で、ある程度手を入れないと走らない感じだった。で、このサーティーズ・フレームのネックが結構立ってたからロングフォークにしたらカッコ良いだろうなって。そこからスタートしたんです」
ブラックトップによる‘30sフレームに’41年のFLモーターを積んだチョッパーは、お客さんが見付けてきたパーツをその都度調整して二人三脚で進められた。まずフロントフォークには、純正74スプリンガーベースのツイステッドフォークをチョイスし、タンクはアメリカで見付けたヤレた風合いの当時物を装着した。
そのタンクの褪せたホワイトカラーに合わせてフレームも塗装し、徐々に全体の雰囲気が固まっていった。しかし、今回はバスケットケースからのセットアップである。すべてがスムーズにいくなんてことはなく、その洗礼をエンジンで浴びることになる。
『‘46~’47年のナックルはそこそこ生産台数があるためそれ以前の年式で、尚且つ出来ればFLで』というお客さんの要望で入手した’41年式モーター。しかしこれがクセモノで、クランクベアリングやヘッド周りのコンディションに頭を悩まされることになる。とは言え、最初から完調なエンジンという保証があったわけでもないので、そこはひとつずつ確実に修繕されていった。
曰く、「結構ハマりましたね(笑)」と話す代表の植田さんだが、そこは相方味岡さんとのツートップ態勢で手抜かりなくクリア。キャブにリンカートM36を付けた1200ccモーターは、心地良く回るストレスフリーな乗り味にメイクされた。
「ポイントはガチッとしていないところでしょうか。大げさにワンオフで作ったバイクではなくて当時のアメリカっぽさ、ゆるさが出たチョッパー。僕個人はそういうテイストが好きで、お客さんとの意見も合ったんです」
そんな中で、植田さんのこだわりが顕著なのがタイヤの表情だ。数あるカスタムディテイルにおいて特に細心の注意を払った箇所なのだが、それは単純に氏が『好き』だからである。
「タイヤとリムのバランスは重要ですね。リム幅が太いとタイヤが上にポンと乗る感じになって不格好。だからリムとタイヤを細いのにすると一気に軽快になる。チョッパーのフロントはリムの細さがポイントです」
リアに関しても、一般的なドロップセンターではなく、当時のナックルの18インチやKモデルに用いられたコンベンショナルリムを採用。これによりリムから絶妙な加減でタイヤが『ブリッ』と出っ張り、えも言われぬ魅力を醸すそうだ。
今回はリプロのタイヤを使用するが、やはり当時のヴィンテージにはパターンや雰囲気に独特のものがあると淡々と、しかし熱く語る植田さん。思いがけずマニア専科のスイッチを押してしまった瞬間である。
HARLEY-DAVIDSON FL 1941 DETAIL WORK
HANDLE
たまたまストックしていた同じ『ゆるい』雰囲気のロボハンを装着。マーブルグリップは古巣のNICE! MC製。
FRONT FORK
純正74スプリンガーをエクステンドしてツイステッド加工が施されたフォーク。ハンドルとの統一感が秀逸だ。
GAS TANK
オーナー持ち込みのタンクは穴や目立つ錆を修繕して利用。タンクありきで全体の方向性が決まっていった。
ENGINE
労力を要したストックの1200ccエンジンは完調な状態に持っていかれた。キャブはリンカートM36。
SHIFTER
当時のチョッパーが走る光景を想起させるかのディテイルワークである。ロッド代わりのチェーンが趣深い。
MUFFLER
マフラーはスラッシュカットのダウンマフラーを選択。フレームのエイジング塗装との相性も良好である。
BUILDER’S VOICE
BLACKTOP MOTORCYCLE
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