H-D FL 1962
GRASS HOPPER MOTOR CYCLE
清涼ホワイトの
不意打ちムーンサルト
本陣を敷く茨城県内はおろか、北関東中に腕の立つエンジン屋としてその名を水面下で伝播させる『グラスホッパーモーターサイクル』。店主山田さんのなんら偉ぶることないフラットな人柄を慕うファンは多く、男性ばかりか、取材当日には女性ライダーが愛車の相談をしていた姿も記憶に新しい。
そしてもちろん、エンジンワークだけではなく、カスタムのキレ味も鋭い。これまで頻繁にアメリカへ渡り、その景色や空気を吸い込んで来た氏の感性はリアルで、いま流行のニーズで化粧しない分、カスタムにはまるで肉汁が溢れ出るかの旨味がギュッと詰まっている。
さて、今回は’62年式FLがベースのチョッパーだ。オーナーの要望で’70年代風のイメージに、ちょっとサイケデリックな感じを加えたと言う。ホワイトカラーがフレッシュな、目にやさしい、ずっと眺めていたくなるようなトラディショナルスタイル。
「フォークはワンオフで、以前作った感じでそれよりもう少し長くしてます。デンバーフォークをモチーフにして4インチオーバーぐらいですかね。でも他もそうだけど、正直そんなに複雑な加工ものはないですよ(笑)」
これが氏の、いつものリアクションである。確かに聞けば、タンクやフェンダーは汎用パーツをそのまま付けるなど、大掛かりなカスタムでないことが分かる。が、そう話しておきながらフォークは手数を要したワンオフ。こうした小技からのムーンサルトがグラスホッパーの作法だ。
鉄棒を曲げて作ったステップ周りもそうだが、頂点にボールを配したデザインのシッシーバーに目が留まる。国内製のボールベアリングを使ったそれは、単体で浮くことなく、むしろ’70年代のイメージを強力に後押しする。また、リアのダブルテールランプも素敵だ。これら『ここぞ』という箇所のたたみ掛けは、ヒットマンさながらの精度の高さを誇っている。
「ペイントのデザインもオーナーの希望です。昔のアメリカの写真かなんかを持って来てそれと同じように。あとはまあエンジンは全部やってあるんで、ノーマルスペックで組み直してる感じです」
最後はやはり、エンジン。昨年のホットロッドカスタムショーに間に合わせるのが先で、まだエンジンをかけていないそうだが、話をいやらしく誘導してみると。「……まあそう言われればきっと最高のはずです(笑)」、と普段から主張しないエンジン屋の本音が思わずこぼれる。
HARLEY-DAVIDSON FL 1962 DETAIL WORK
FRONT FORK
4インチオーバーのスプリンガーフォークは市販品では納得行かず、デンバー製をモチーフにワンオフしたもの。
GAS TANK
市販のスポーツタンクをそのまま装着。塗装はすぐお隣さんのピンストライパー、マックカスタムデザインが担当。
ENGINE
グラスホッパーといえばエンジンである。まだ火を入れていない内部はノーマルスペックで組み上げられた。
FOOT STEP
フットステップ周りは鉄棒を曲げて成形した部位。先端に国内製ボールベアリングを付けてアクセントとする。
MUFFLER
ミッドハイのストレートパイプのバンプ部分は加工屋さんで作ってもらったもの。それを溶接でジョイント。
SISSY BAR
シッシーバーの先にもボールベアリングを付けてステップ周りと同デザインに。テールランプはダブルで装着。
GRASS HOPPER MOTOR CYCLE
住所 | 茨城県水戸市杉崎町152-1 |
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電話 | 029-259-4746 |
FAX | 029-259-4746 |
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