H-D EL 1946
LUCK MOTORCYCLES
初心を忍ばす
熱狂のモノグラム
身もだえするほどのチョッパー。ラック節全開のこのナックルは、昨年のホットロッドカスタムショーでのアワードに続き、今年のニューオーダーでは連覇を達成。見ての通り、かなりの強打を誇るトップランカーだ。さて、伝えたいことは山ほどある。ビルダー杉原さんの肉声からいってみたい。
「基本僕の好きなスタイル。ショートホイールベースでフレームにも結構こだわって、リアとネック周りをラグ風にしてる。まあ3週間でフィニッシュする時間しかなかったんであれですけど、ある程度狙い通りには出来たかなと思ってます」
去年のホットロッドカスタムショーに照準を定め、限られたリミットの中でまとめた一台だ。「もうちょっとこうしたかった」、という箇所は若干あれどもその完成形は濃厚。次元の違う人間が迂闊に付け入る隙はない。
「一応、統一感を持たせるようにはしてます。あまりいろんなモチーフを多用するとゴチャゴチャになっちゃうんで。僕はだいたい一台のバイクに対してモチーフは2つか3つまでなんですよね。その中で統一感を持たせるというか」
今回のELには、『ラグ風加工』、『リップル』、『スリット』の3つのデザインがモチーフに与えられた。中でもラグ風のネック周りに注視したい。全部で3ピースからなるこのセクションを紐解けば、手作業での熱狂が静やかに息をひそめている。
「まずネックを削り出しで用意して、そこから差し込み部分を鉄で溶接して作ってる。パイプを差し込んだ時に出来るだけ強度を増すために中でも一回溶接してます。純正フレームとかにもよく使われる手法ですけど、横から穴を開けて中のパイプと一緒にくっ付けてる」
更に、接合箇所の際(キワ)の部分にロウ付けを施し強度確保に余念がない。こうした純正のナックルフレーム等に見られるロウを流れ込ませた最終仕上げは、ヴィンテージハーレーを多く触ってきた氏ゆえのアドバンテージだろう。
他にも、オフセットさせた’70年代ガーターフォークのリメイクやハンドル、タンク、リアフェンダーなど、技巧を凝らしたディテイルの数々は強烈な吸引力を持って見る者をフリーズさせる。しかもそのほとんどは、グラインダー片手に気が遠くなるような時間を費やして咲かせた一輪の華ばかり。
才能は表現を求めてやまないもの。氏が手を動かし続ける理由は、誰の目にも鮮やかだ。
HARLEY-DAVIDSON EL 1946 DETAIL WORK
HANDLE
前方にアールを描く同店特有の形状を持ったハンドルは、今回のモチーフをデザインに落とし込んで製作。
NECK
3ピースで構成されるネック周りは旋盤とグラインダーを駆使して成形。ロウ付け仕上げなど手抜かりは無い。
FRONT FORK
’70年代のガーターをナロードで一新。またショートホイールベースに合わせてオフセット量を少なめに修正。
GAS TANK
エッグタンクをベースに4分割してリメイク。タンクキャップ部分のオーナメントにビルダーの技が光る。
OPEN CHAIN
荒々しいインパクトを求めてオープンチェーンとした。本当はベルトなんだけどここは見た目で、と顔を綻ばす。
FRAME WORK
眩く輝くフレームエンドもラグ風にフィニッシュ。スプロケットブレーキ化でシンプルなホイール周りを形成。
BUILDER’S VOICE
LUCK MOTORCYCLES
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