HARLEY-DAVIDSON XLCH 1973
SHALLOW MOTORCYCLE SHOP
間合いを詰めない
静やかなドライブ
店主の浅井さんは寡黙な人だ。多くを語らず、ほがらかに話を聞く。そして自分が話す際は、思い付きで口を割ることなく、まずは頭と口で内容を咀嚼した上で初めて語り出す。そんな印象である。なので、今回のチョッパーについて訊ねた時も、独特の間と空気感を挟んでの対話となった。
「コンセプトというコンセプトは特にないんですけど。ちょっとずつやっていて、だんだんエスカレートしていった感じですね(笑)」
単純に、チョッパー度合いが増していったわけである。シッシーバーといいペイントといい、この手のカスタムではフルコース。全体に渡って手を入れた一台だ。
「ポイントは、シッシーバーとちょっとペイントを凝ったところぐらい(笑)。シッシーバーは角棒を使って面で曲げずに角のところで曲げてます。エッジの立ったデザインにしたかったんで」
言うまでもなく、面で曲げるよりも格段に難易度の上がる手法である。ずれ易く、綺麗に曲がり難いそこは、氏がカスタムを通じて覗かせたプライドだ。
お次はペイントだ。濃いキャンディカラーをベースにして、フレイムスの中は全6色を使った色彩。まだらに塗料を吹いていき、最終的にペーパーで研ぎ下地を出して仕上げたものだと言う。
「赤、青、黄、オレンジ、緑、紫の6色と、フレークとパールも混ざってる。その混ざり具合で、何種類もの色が入ってるように見えてます」
淡々と説明する内容はシンプルだが、それ相応のスキルが求められるのは必至。というより、これがペイント屋ではなくカスタムショップの仕事であることに焦る。更に同店のホームページを見てもらえば分かるが、これとは作風の違う売り物のエイジングペイントもまたいかつい。下手なペイント屋顔負けのクオリティだ。
そして、バランス良くまとまったフォルムは、余計なことをしないパーツ構成の賜物だろう。自己主張の強いビルダーは時に、もっともっとと、『おかわり』し過ぎて全体のバランスを崩しがちだが、浅井さんはそもそもがそうでないため、例えシッシーバーが強烈でも、自ずとバイク全体のスタイルにふわり溶け込んでゆく。
「作ってみた感想ですか(笑)。まあこういうチョッパーは前から作りたかったんで良い機会でした」
本音を聞きだそうと抽象的な質問を投げかけると、予想に反して製作時の苦労話ではない、満たされたコメントを得た。作りたい。氏の創作意欲は、静やかに湧き続ける。
HARLEY-DAVIDSON XLCH 1973 DETAIL WORK
FRONT FORK
純正フォークにワンオフのカバーをセット。ライトはクロスしたレンズガードが特徴的なガイド製クロスボーン。
GAS TANK
タンクは汎用の幅を詰めて成形。そこに全6色とフレークやパールを使い塗装。ペーパーで研ぎフィニッシュ。
ENGINE
エンジンはストック。Eキャブに名品DEN×FORKのエアカバーを装着。モーリスマグネトーがポイント。
OIL TANK
オイルタンクはXLCHのレプリカをセット。リアショックはEVOスポーツスター用12.5インチを採用する。
REAR FENDER
リアフェンダーは汎用加工で、そこにデュオテールを付けてモールディング。一体化したデザインでペイント。
HIGH BACK SEAT
角棒の角の部分で曲げてひねりの効いた造形としたシッシーバーに、ワンオフのハイバックシートをセット。
BUILDER’S VOICE
SHALLOW MOTORCYCLE SHOP
住所 | 愛知県名古屋市天白区井の森町179 |
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