YAMAHA SR400 1998
LAMP CYCLE
本気のレーサーが淹れる
愛情ゴールドブレンド
柔和な笑顔を絶やさず、張りのある声で応じてくれる代表の松隈さんは、かつてヤマハのYZ250で九州モトクロス選手権を回っていたこともあって、手掛けるカスタムにはそのオフ車特有の軽やかなエッセンスをほんのり散りばめている。
「街中でさらっと乗れるようにというオーダーで作ってます。『こういう感じにして欲しい』、とお客さんが雑誌を持ってきてくれたので、イメージはすんなり掴めた。あとは通勤でも乗るということだったので、ガンガンに乗り倒せるSRを選ばせてもらいました」
この『街中でさらっと』、というのがキーワードで、ストリートに映えるスタイルは同店の得意技である。作るバイクを始め、ショップ内に足を踏み入れれば、時代の潮流を掴んだフレッシュな感性を肌で感じることが出来ることだろう。そしてこの感覚こそが、街中に溶け込むスタイルに直結するのだが、なかなか狙って出来るものではないからこそポイントも高い。
全体を見渡せば分かるが、パロスペシャル的トリッキーな手法はない。既製品をベースに、独自のブレンド比率でまとめあげた一台だが、見せ場はディテイルではなくあくまでもマシンバランスにある。
タンクとシートのサイズ感、そして車高の3つを精査することで、均整の取れたプロポーションを入手。そこにピンストライパー、MR.Gによるアメリカントラディショナル・スワロウ(つばめ)がドロウされ、クオリティは間違いないものとされた。
「タンクはお客さん的にドンズバの、ウチにあったFRPタンクを使って、シートレールはループフレーム加工してある。そして、それに合わせてシートをワンオフ。リアタイヤとフェンダーの隙間の調整には時間がかかった。長過ぎず短すぎないように(笑)」と、相変わらず笑顔を絶やさず作業工程を振り返る。
終始なごやかな雰囲気のままインタビューを終えたが、最後に何か伝えたいことはあるか、と話を振ってみると、急に居住まいを正し、真っ直ぐ前を見据えてこう語ってくれた。
「いまバイクに乗られる方が減ってて、守りに入ってる方が多いような気がする。でも、正直もっともっと遊んで良いのかなと。入門用でもなんでも良いからとりあえずバイクに乗ってもらう。そこから、カスタムだったり何だったりのかけ橋になれれば嬉しいです」
本気でバイクと生活を共にしてきた氏の言葉には、真摯な想いと深い愛情があった。
YAMAHA SR400 1998 DETAIL WORK
HEAD LIGHT
ヘッドライトはベイツタイプの5.5インチを装着。ブラックボディとフォークブーツでストリート感を演出。
HANDLE
特別なことはせず、既製のハンドルをショートカットして内側に絞り加工。汎用のスイッチとグリップをセット。
GAS TANK
店にあったメーカー不明のFRPタンクを使い、オーナーの意向で福岡のMR.Gによるスワロウがドロウされた。
REAR SHOCK
北九州にあるショップオリジナルのリアショックをマウント。バランスを取るため長さ調整に苦心した箇所だ。
REAR END
シートレールはループフレーム加工。フェンダーはSR400のフロントを流用、両側の耳を落として成形。
MUFFLER
マフラーはエキパイは純正をそのまま使い、サイレンサーのみ社外品に変更。スタンダードな選択となる。
BUILDER’S VOICE
LAMP CYCLE
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