セブンモーターサイクルのアワードショーバイクカスタムのショベルヘッドチョッパー FLH 1969年

H-D FLH 1969
SEVEN MOTORCYCLES

May 18th, 2026

リリックを平らげる
時差のないふたつの海流

1969年式FLHをベースに、作り手の鈴木さんが明示したのは、乗り手が跨った時に滴(したた)るチョッパーだ。本作の真髄は、ショーバイクが陥りがちな「展示物としての美しさ」と「乗車時のシルエット」の矛盾を、狙い澄ましたナローなボリュームで解決している点にある。

セブンモーターサイクルのアワードショーバイクカスタムのショベルヘッドチョッパー FLH 1969年

引き寄せられるのは、フレームネックからテールまで一体成形となって流れるモールディングだ。通常、パーツの継ぎ目はパテで埋めるのが一般的とされるが、氏は鉄板を切り出し、溶接と鈑金によるメタルワークでそれを連続させている。

また、ガスタンクのえぐりすらもそのラインの一部に取り入れ、ハンドメイドの臨界点ともいえる、艶っぽく有機的な一体感を生み出した。

セブンモーターサイクルのアワードショーバイクカスタムのショベルヘッドチョッパー FLH 1969年

フレームにも当然メスが入っている。社外のパウコ製フレームを基部としながら、このフレームの鬼門となるエンジンロッカーカバー上部に生じる隙間をミリ単位で詰め、密度を凝縮。

さらに、フロントフォークの立ち角を29度へとストックからわずか1度だけ起こすことで、忍ばせた緊張感とほのかなスピード感を両立させている。

セブンモーターサイクルのアワードショーバイクカスタムのショベルヘッドチョッパー FLH 1969年

その計算したタイトさへの入れ込みぶりは、排気系にも及ぶ。マフラーを車体内側に追い込むため、フレーム側を約7mmえぐり、わずか2mmのクリアランスを保ってマフラーを配置。

これにより、通常の車両よりも左右幅を絞り込み、乗り手が跨った際に違和感なくバイクが締まって見えるようなサイジングを具象した。

セブンモーターサイクルのアワードショーバイクカスタムのショベルヘッドチョッパー FLH 1969年

細部には、作り手の才腕が弾け飛んだ一品物が散りばめられている。無垢材から旋盤でネジを切りフライスで側面をえぐって削り出したライザーや、4ピースのステンレス製フラットバーに一度すべてメッキをかけ、その後に裏から真鍮のロウ付けで組み上げたテールランプ一体型チェーンガード。

この巧緻なチェーンガードやフェンダーステーの上部は角を丸めずに、エッジを立たせた3次元的な造形で完遂する。先端に指を触れれば鋭い刺激を感じるほどのそのフィニッシュにも抜かりはない。

セブンモーターサイクルのアワードショーバイクカスタムのショベルヘッドチョッパー FLH 1969年

フロントにはナローな鉄製39mmアウターフォークを採用。インナーチューブに高硬度で摩擦抵抗を減らすDLCコーティングを施し、黒くタフネスな質感を強調しつつ作動性も向上させた。

「自分が乗りたいのはこういうやつ」。氏の手からつむがれるチョッパーは、単体だけでの美しさにはそもそも縁がなく、乗り手が走り出したその瞬間にこそ閃光が放たれる。そしてその輝度は、したたかにまばゆい。

HARLEY-DAVIDSON FLH 1969 DETAIL WORK

アワードショーバイク・ショベルヘッドチョッパー FLH 1969年のライザー

RISERS

無垢棒から旋盤で下部に段差を作り、両側面をえぐって成形。両棒をつなぐパイプを作りそこにハンドルを挿入。

アワードショーバイク・ショベルヘッドチョッパー FLH 1969年のフロントフォーク

FRONT FORK

6インチオーバーの39φフォークは鉄製アウターセットの大神戸共栄圏製。インナーにはDLCコーティングを。

アワードショーバイク・ショベルヘッドチョッパー FLH 1969年のガスタンク

GAS TANK

タンクは内側にえぐった立体的デザインで製作。このえぐりラインがネックからの流れを受けてリアへと続く。

アワードショーバイク・ショベルヘッドチョッパー FLH 1969年のモールディング

MOLDING

シートレイルからリアエンドにかけても鉄板を貼り合わせ滑らかにモールド。シートは宮城ジミードープ製。

アワードショーバイク・ショベルヘッドチョッパー FLH 1969年のマフラー

MUFFLER

ミッドハイのスラッシュカットは内側を約7mmくり抜いて設置。ホイールはフロント用サンダンス製19インチ。

アワードショーバイク・ショベルヘッドチョッパー FLH 1969年のチェーンガードとテールライト

CHAIN GUARD & TAIL LIGHT

4ピースのステン製フラットバーを一度メッキ加工。その後裏側からロウ付けしてテールライトと一体ボディに。

BUILDER’S VOICE

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