
H-D FLH 1966
HAMANS CUSTOM
最後まで離さず離れない
カスタムを介した乱糸塗装
この種のチョッパースタイルでいけば、おそらく無双状態のショップである。長年、丹念に知見や技量を研ぎ続けてきた『ハマンズ』のオーソドックスなチョッパーは、ぽっと出が太刀打ち出来るレベルにいないのはもちろん、ベテラン勢でもなかなかに及ばない。
それはひとえに、脇目もふらずにこのチョッパースタイルただひとつに情を傾けてきたから以外の何物でもない。

全方位、見晴らしがいい。完成されたボディシェイプに違和感を覚える箇所はなく、いつまでも眺めていられる風情がある。アーリーショベルがベースのこちらは、ただしく『ハマンズ』のチョッパーマナーで薫り高く焙煎されたものだ。
「いつもの僕が思ってる一番ベーシックなカタチです。だいたい1960年代後半ぐらいですかね、作るにあたって思ったんは」

チョッパーだけではなくクルマや社会全体の、当時のアメリカの雰囲気が好きなのかなと、作り手の松本さんは言う。そして同店のファンなら言わずと知れたことだが、『ハマンズ』のチョッパーの本源はバイクではなくカスタムカーの方にある。
1960年代後半の時代考証的に見れば、ロングフォークチョッパーのショーバイクでいくのが正道だろう。しかしそこをハードテイルフレームにスプリンガーフォーク、小ぶりなガスタンクのショートボディを土台にしたチョッパーで勝負する。
同店のアイデンティティの輝きは、カスタムカーサイドの思考あってのものだ。

スタイリングに始まりディテイルもつつがない。ガスタンクは中央を割り、山の形に左右フレア状にしたものを合わせてナロード成形。ちょうどその箇所がリブになるが、鉄棒を溶接するのではなく敢えて手間をかけた鈑金加工が為されている。

そしてマフラーも単に既成のアップスイープで済ますはずもなく、カチ上げ角をゆるやかに調整したオリジナルだ。また、アイキャッチのヘッドライトは英国ワイパック製フォグランプを使った通(つう)な選曲で、もはや玄人ですら悶絶必至のチョイスである。
他に、当時のマーカーランプを用いたテールランプと、そのどれもがキャリアに基づく据わりのいい安定感をのぞかす。

最後に、『ハマンズ』のチョッパーたらしめる麗しきペイントだ。パールホワイトの上にキャンディブルーをぼかし入れ、その上に糸を散りばめたかの乱糸塗装で装飾。
そしてこれらは、決してペインター任せにはしない、作り手と塗り手の互いの才幹の相乗効果によって響きを増している。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1966 DETAIL WORK

HANDLE
ハマンズのオリジナルバー。一見エイプハンガー風の形状だが細部を煮詰めたデザインがオンリーワンをゆく。

FRONT FORK
74スプリンガーレプリカに英国ワイパック製フォグランプをヘッドライトに採用。多彩な引出しからの機密兵器。

GAS TANK
バナナタンクは左右フレア状にしたものを合わせナロード成形。当時のカスタムカーに見られた乱糸塗装で完遂。

SEAT
シンプルながら洗練されたデザインを挿入。コイルカバーは車体のラインに合わせて後方を伸ばして加工した。

MUFFLER
既製品では表現できないカチ上げ角をゆるやかに取ったワンオフのアップスイープ。ジェントルな装いとなる。

REAR END
リブフェンダーは控え目なショートステーで支持する。2連のテールランプは当時物のマーカーランプを使用。
BUILDER’S VOICE
HAMANS CUSTOM
| 住所 | 滋賀県守山市川田町1450-5 |
|---|---|
| 電話 | 077-516-4551 |
| FAX | 077-516-4552 |
| SHOP | HAMANS CUSTOMのショップ紹介 |
| 営業時間 | 10:00 ~ 17:00 |
| 定休日 | 月曜日 |

H-D KH 1956





















