
H-D FLSTF 2002
NUTS CUSTOM CYCLES
一周回って悟りに向かう
養われるブルーソバット
今から70年以上前の旧車から現行車までをワイドレンジに取りさばき、そのどれもに隙のない仕事を見せている。広範なエンジンモデルの扱いを謳うショップは数あれど、ここまで堅実な仕上げを伴うところは決して多くはない。

四国随一のカスタム屋によるツインカムエンジンの一台。オーナーの周囲にはショベルやパンヘッド乗りが多かったが、本人的には調子よく走れるツインカムが良いとのことでスキームは進められた。
「まあツインカムの良さを使ったチョッパーを作って欲しいみたいな。でソフテイルフレームで乗り心地のいいコンパクトなバイクを仕上げようと。ギラギラした感じが好みのオーナーでしたね」

カスタムベースとしては比較的骨の折れるツインカムソフテイルである。まず、その主要因のひとつである配線周りから見直すことでクリーンなスタイルを摂取。
元の配線を一度全部ひっぺがし、使わないセンサー類を排除、プレッシャーランプなどの必要最小限の分だけを残して配線が引き直された。それによりエボリューションと同等の本数まで減少させ、あとは目立たないよう粛々とフレームに沿わせてシート下に集約している。

次に外装。ガスタンクや180ワイドを履かせたリアフェンダーなどは全体のバランスを見て加工されるが、それらの中でひときわ存在感を見せるツイストを入れたリアフェンダーステーに目がゆく。
「お客さんが好きって言うんで角棒を使って13だったかのピッチでネジってます。それ以上だと千切れるんでその辺が限界ぐらいですね。あとハンドルの前の所とハンドシフトのステーもそうです」

それに加えて、ワンオフしたマフラーを支えるマウントステーにもツイストが加えられている。この、外からは見えにくい箇所にまで施された徹底した造作が、名のあるカスタム屋全般に見られる流儀だといえよう。
スイングアームとメインフレームとの接合部にも刮目したい。リジッドフレーム風にライン取りされた骨格部分ではあるが、スイングアームと分離する箇所のメインフレームの2つの凹部には図案したアルミカバーを付帯。
通常、目立たせないようにする箇所を逆に見栄えさせることで、ソフテイルフレームが持つ素性の甘露を前面に打ち出している。

そうしたセオリー通りのカスタマイズに引っ張られることのない、一周回ってたどり着いたかの悟りの手ほどきが各所に配されている。多彩な車両に囲まれた環境では、その眼識が日々養われている。
HARLEY-DAVIDSON FLSTF 2002 DETAIL WORK

HANDLE
中央のスリットの入ったアクセント部は無垢パイプを旋盤で削り成形。その両端からパイプを挿し込み接合。

FRONT FORK
2インチオーバーの社外スプリンガーをセット。ライトはオーナー持ち込みのヴィンテージスクエアを2連で装着。

GAS TANK
ナロースポーツスタータンクをわずかに幅を詰めて調整。その左下にメーターとイグニッションを配備した。

SEAT
ゴージャスな雰囲気漂わすシート周り。マウントプレートは鉄棒を沿わせて造作するなど手をかけ美しく完遂。

MUFFLER
オーナー希望の形にマフラーを製作。スイングアーム接合部分のフレーム凹部にスロッテッドのアルミ板を張る。

FENDER STAY
ステーは角棒を使い13ピッチで精緻にねじったものを設置。各所にツイストデザインを踏襲して統一感を計る。
NUTS CUSTOM CYCLES
| 住所 | 愛媛県四国中央市土居町蕪崎2634-2 |
|---|---|
| 電話 | 0896-74-8275 |
| FAX | 0896-74-8275 |
| SHOP | NUTS CUSTOM CYCLESのショップ紹介 |
| 営業時間 | 9:00 ~ 18:00 |
| 定休日 | 水曜日、第1・3日曜日翌月曜日 |

H-D XL1200S 1997
H-D FX 1977







