H-D FXSTC 1998
BIKE GARAGE KOKORO
ふるいに掛けられた
選民による円熟の鉄槌
山梨無双の作り手が投下した一台がまた際立っている。2000年代に一世を風靡したニュースクール系チョッパーをここに来て敢えて持ち込む切り口がそら恐ろしい。とうの昔に過ぎ去った流行りのスタイルを、そもそも上っ面のトレンドとは無縁のベクトルで向き合ってきた人間が円熟させたそれは、当然スキモノの心にドスンと響くものがある。
「オーナーさんの希望と、自分も作りたかったというのが物凄いありました。ウチのオリジナルホイールを入れたり、もう少し現代風にしたらどうなるのかというのを踏まえて作った車両になりますね」
全国を見渡しても、このネオチョッパーに絶えず磨きをかけてきた作り手は数えるほどである。でもだからこそ、一時流行りに乗ったフェイカーたちの居場所はなく、このジャンルでは本物たちが互いを鼓舞し合って高みを目指す希有な世界が育まれている。
内田さんの体温が宿るチョッパーは何はなくともバランスだろう。一歩引いた目線で見れば明らかになる端整な佇まいは、足し算ではなく引き算の手法で構築されたもの。フレーム自体が大型のストレッチタイプな分、コンパクトなチョッパーにするのは土台不可能である。そこで自分の中で境界線を引き、極力無駄を省き、理想形へと仕上げていった。
「小さく作るというのがまず無理な話になると思うんです。なので境界線を置いて、この感じだとフォークはワイドグライドで、ガスタンクもそれよりは横に出ないようにとかいろいろ考えながら作ってます」
マフラーにしても、長さを始め、45φから48φへと途中でサイズアップさせることでボリュームを調整。また機能的にも排気効率を上げることでネオチョッパー本来のアグレッシブな走りを確保している。一般的な50φではなく48φを選択したのもそうした理由からだ。
各所のステーなども同店特有のシンプルが現れている。通常壊れるのが不安な箇所は必要以上にごつくされることもあるが、氏は決してそうはしない。自分の経験値をもとに、必要最低限の作りで絶対的な耐久性と見栄えの両立をはかっている。結局、日常的にバイクを乗り回して実体験を積み重ねているために、理屈ではないところで物作りが洗練されてゆく。
「まあ自分乗るのが大好きなので、必要なものは必要なもの。必要じゃないものはそぎ落としていけば良いと思ってます。だから僕の作るチョッパーはどんどんどんどん、究極シンプルになっていくんですよね」
HARLEY-DAVIDSON FXSTC 1998 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは意外にも純正品を加工したもので、曰く、「ノーマルに見えないように手を加えた」ものを装着する。
GAS TANK
流麗なラインを描くワンオフタンク。フェードのパープル塗装は自社で行い、ピンラインはスギサックが担当。
ENGINE
メカニカルな印象を狙ったエンジン部。ロッカーにはEMD製を用い、ワンオフのオイルラインが雰囲気を増す。
SEAT
ショッププレートが入るソロシートは宮城のジミードープ製。フレームラインにピタリとオイルタンクを格納。
MUFFLER
マフラーはデザインと排気効率を考慮して45φから48φへと途中からサイズアップ。ホイールはオリジナル品。
REAR END
シンプルなリア周り。耐久性を備えたステーは必要最低限の作りとすることで逆にその造形を引き立たせている。
BUILDER’S VOICE
BIKE GARAGE KOKORO
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