H-D SHOVELHEAD “NYARLATHOTEP”
INDIAN ORANGE MOTORCYCLE
地を這う妖美に惹かれる
スピード&カスタム・ディガー
『スピード&カスタム』を標榜し、自らもドラッグレースやボンネビルへ挑戦するなど、スピードアディクト(中毒)を地で行くビルダー、小田浩司が営む『インディアンオレンジモーターサイクル』。そんな同店が昨年のニューオーダーチョッパーショーに出展し、見事ベストオブチョッパーに選出されたマシンを紹介したい。
オーダーはズバリ、『ディガー』だった。オーナーが自身で持ち込んだのは機関部一式に、ディガーの象徴とも呼べるロケットタンクとインベーダーホイール。その他のパートはすべて小田さんに一任された。
まずフォークはジョイライドにオーダー。12インチオーバーのガーターフォークに合わせ、フレームの製作を開始した。
「いつもフレームはシンプルに作るけど、今回はリアアクスルのところを装飾っぽいプレートにしてみたり、コーナーも曲がれるように若干車高を上げてみたりしてます。ネック角は50度くらい寝てて、それに12インチオーバーだからトレールは19くらい」
「当然クセはありますよ。でも心意気で乗れる範囲(笑)。何度も試乗したけど、直進安定性も非常にいいし、コーナーも問題なく走れますね」。ディガーというクレイジーなスタイルでありながらも、『乗れないバイクは作りたくない』という氏の信条を垣間見る。
続いて外装。持ち込まれたロケットタンクは直線の塊。それに対しフェンダーはタイヤを収めるために丸い。そんな直線と曲線とが巧く絡むよう、オイルタンクやフェンダーの造形で高度な辻褄(つじつま)合わせを完遂しているところに注目したい。その秀逸なメタルワークに、手練のペインター、420 Customsの美しい仕事が華を添えている。
見所の多さに目を回しそうになるマシンだが、タンク横を陣取り、圧倒的な存在感を放つ過給機の存在を除いてこのマシンは語れない。
「ケンズの永井さんに譲ってもらって自分用に持ってたんです。オーナーさんに冗談で『付けます?』って聞いたら、1週間くらい考えた後に『付ける!』って。とはいえ僕も初めて作るし分からない事も多かったから……トライ&エラーを繰り返しましたね」
‘70年代当時、ディガーには過給機を奢ったマシンが散見された。ドラッグレーサーに着想を得た、文字通りアスファルトを『Dig(=掘る)』する獰猛で美しいマシン。
その発祥から半世紀、現代の日本に産まれたこの一台は、まさにスピード中毒・小田浩司の面目躍如と表現するに相応しいマシンだ。
(写真・文/マツモトカズオ)
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD “NYARLATHOTEP” DETAIL WORK
HANDLE
ドラッグバーはセル&ホーンボタンを擁し、マスター&レバーはカスタムテック。メーターはスピードと油圧計。
FRONT WHEEL
オーナーが箱入りで所有していたというインベーダー。キャリパー&8.5インチのローターはカスタムテック製。
GAS TANK
タンクはオーナー自らCADで図面を引き、鈑金屋が仕上げたという苦心の作。シート製作はアトリエチェリー。
SUPERCHARGER
そのサイズや重量ゆえ、取付には苦心したというマグナチャージャー製スーパーチャージャーの圧倒的存在感!
PULLEY
納得いくまで試行錯誤を繰り返したというワンオフのシャフトやプーリーが内燃機周りのメカメカしさを増長。
OPEN PRIMARY
BDL製のセル付2インチオープンプライマリー。プライマリー内にシフター&ペグとオイルフィルターを配す。
BUILDER’S VOICE
INDIAN ORANGE MOTORCYCLE
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