
H-D SHOVELHEAD 1979
HOT SPICE CUSTOMS
片道2時間半の
アラビアンナイト
敷居が高くもなければ得意になる様子もない。いつも淡々と自分の聖域である工場内をせわしなく動き回り、与えられた仕事を時に楽しく、時に苦悶の表情を浮かべながらやり過ごしてゆく。
そして、そこから生まれるカスタムはすべてにおいて『ストリート』で萌える感がある。要は、街の雑踏を駆けるシーンとの相性がうんと良い。
なにより、乗り手の体格に合わせた車体である。どのカスタムを見てもオーナーがまたがった時の姿がビッと来る。ロングフォークのチョッパーにしても、足位置を前方にずらしたフォワードコントロールのバイクにしても、その印象は変わらない。
それぞれの乗り手が着座した瞬間にビッと違和感なく収まるスタイリング。そして、その景色は外野からの見栄えのいいままに、当のオーナーの日常にこれでもかと深入りしてゆく。
このフリスコスタイルのチョッパーもそのサイズ感を踏襲している。ハンドルを握ってもステップに足を乗せても体に無理はなく、乗り手と車体とのバランスは円満。その肝となるスタイリングの中に、『走り』と『ホットロッド』のエッセンスが注入されている。
「こういうチョッパーは慣れているというか好きなカタチです。ポイントは特にないんですけど、最終的にマフラーが変更になったのでそこですかね。あとはスタンダードなカタチに仕上げてるとは思います」
いつかはショベルヘッドのチョッパーに乗りたい。10代からバイクに乗り続け、ビューエルライトニングを経て今回、オーナーの夢がカタチとなった。
ハーレーの購入にいよいよ動き出したオーナーと、ちょうどいいタイミングで同店に入って来たショベルヘッドとの一期一会。そのめぐり合わせをものにしたオーナーにとって、片道2時間半のショップへの通いはなんら問題ではなかった。むしろその時間にこそ夢の純量が詰まっているともいえよう。
リジッドフレームに前後21/16インチホイールを装着。35φのフロントフォークは6インチオーバーとされ、ガスタンクはスポーツタイプでリアにフラットフェンダーを設置。これらジェネラルなフォルムの中に、先の左回しとされたマフラーがアクセントに効く。
「高校の頃から憧れはありまして、今回ようやく悲願のチョッパーということですね(笑)」。作り手が自我を押し出すことなく乗り手の方向だけを見つめるからこそ、安定した見栄えを通じてそれは、まんまと街の雑踏を呑み込んで、大きな息を吐き出せる。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1979 DETAIL WORK
FRONT FORK
35φフォークの6インチオーバーを装着。外見重視ではなく常に乗り手とのバランスを加味した設定とされる。
GAS TANK
定番のスポーツスタータンクをマウント。伝統的なスキャロップの塗装にホットロッドのテイストを取り入れた。
FOOT CONTROL
BDL製2インチオープンプライマリーに若干ハイマウントのステップを。マフラーは左から回り込んで右側へ。
MUFFLER
カスタム終盤に何かアクセントを取り入れたいということで製作したアップマフラー。リップルデザインが効く。
REAR END
リアエンドに交流の深いWhale&Co.のツールロールをセット。オイルフィルターには柿色のFRAM製を選択。
FENDER STAY
丸棒とフラットバーを使いワンオフしたステーでリアフェンダーを支持。ピリオン共にシートはハードライド製。
BUILDER’S VOICE
HOT SPICE CUSTOMS
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