H-D FLH 1975
Janus Mind
絶対音感ですみ分ける
屋台骨の上のバンケット
「自分が乗りたい、これと同じようなカタチのを以前作ってて、それを見たお客さんが同じようなものを作って欲しいって。それも生まれ年の1975年のエンジンを使ってということからのスタートですね」
店主の福田さんはおだやかにそう話す。その包容力すらうかがわせる「人となり」はいつ会っても健在で、ついつい話に夢中になっていると、いつの間にか時間が想像の3、4割増しで経ってしまう。そんな居心地の良さを持ち合わせている人だ。
氏にとっては勝手知ったるロングフォークチョッパー。何よりも全体のバランスばかりを考えて作っていると語る伝家のフォルムは、紋切り型のロングフォークというよりはこのカタチが特性である。
「プリズミックタンクやシートをフレームのラインに綺麗に合わせるのがウチのスタイルみたいな。だからロングフォークってわけじゃなくこのカタチがそうだとはお客さんに言われますけどね。短いのもやりますし」
そのフレームにツライチで装着されたプリズミックタンクは過去に加工した分を参考にして、納得ゆく造形になるまで3、4回作り直したものだそうだ。
そして、製作工程で決して外すことのできない前後インベーダーホイールはニューヨークに住む老齢の作り手に毎回依頼するもので、22インチオーバーのスプリンガーフォークは同じく米国のフレッズ製を選択した。
目立たない箇所への計らいに『ジェーナス』の絶対音感はとくと宿り、例えばBキャブなどはスロットルワイヤーが前側に付く構造だがその見てくれを嫌い、後ろに付くよう改変。それをそのままフレーム内へと収めている。
また、ワイヤー類のクリーンな処理もさることながら配線系も徹底している。なにせメインキーがあるとどうしてもその周りの配線が上手く隠しきれないため、それを廃してスイッチ化してしまうほどだ。
「まあイベントなんか行ってお酒飲んじゃって次の日に鍵がないって。そうなるんだったら最初から無い方が良いよねって(笑)。オイルタンクの下にスイッチを付けたり、その分極力配線は見せないという。出したくないというところからですね」
かなり現実的な話だ。よく走る人だったらきっとそんな経験を持つ人も多いことだろう。そしてそれは、作り手の福田さん自身がチョッパーに乗って各地へ出かけるタイプゆえの観点でもある。『ジェーナス』のチョッパーを包む美貌は、あくまでも走りの屋台骨の上で蝶になる。
HARLEY-DAVIDSON FLH 1975 DETAIL WORK
FRONT FORK
22インチオーバーのスプリンガーフォークは米国フレッズ製。各種のオーダーにも対応してくれることで重用。
GAS TANK
『ジェーナス』の特長のひとつとも言えるプリズミックタンク。過去作に倣い3、4回作り直して完成させた。
FOOT CONTROL
操作性の高いハンドクラッチ&フットシフトのセットアップ。オイルタンク下にメインキーを密かに設置する。
MUFFLER
カスタム全般に言えることだがマフラーへの執心も強い。前後2本をわずかにずらすことで立体感を与えた。
REAR WHEEL
インベーダーホイールはニューヨークの贔屓のショップへ依頼。ロングフォークでは決して外せないセクション。
SISSY BAR
角棒を使ったシッシーバー。程よい高さとシンプルなデザインが全体のマシンバランスと見事に合致する。
BUILDER’S VOICE
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