H-D EL 1952
MOTOR CYCLE PANDEMIC
リアルさを追い詰めた
エイジングの社交ブレイキン
迎える側も迎えられる側もお互いに気分が良い。そんながっしりと首に腕を回されるような男っぷりの溢れた店主が営むチョッパー屋である。嶋田さんはこれまで、数台のショーバイクを年末に行われる横浜ホットロッドカスタムショーに投下してアワードを獲得してきたが、今回は若干毛並みの違うチョッパーで勝負に出た。
「コンセプトとしてはアメリカ人の作ったガレージチョッパーですね。なので作り込む所はもちろん作り込んでるんですけど、手を抜く所は抜いて微妙な雑さを出してます。あとはエイジングペイントの方に全振りした感じです」
昨年手掛けた鮮やかなショーカスタムとは対照的なエイジングチョッパーである。そしてその要(かなめ)となるエイジングだが、経年劣化したヴィンテージパーツではなく、フレームから外装、ひいてはエンジンロッカーカバーまでがニューペイントで塗られている点がハイライトだ。
まず、値打ちのある純正フレームやガスタンクをベースに加工しているだけでも豪儀だが、そんな一部のコレクターたちの悲哀をよそに、全方位塗装で経年劣化の風合いを出しているところが規格外である。
「純正品を使うのは最初もったいないなって思ったんですよね。でもやっぱりチョッパー屋なんで改造欲の方が勝ったんで、やっちゃうかって(笑)」
この辺のコメントが実に同店の空気感を現わしていて、氏の竹を割ったような性格と高めの体温に惹かれて熱心なファンが足を運んでいる。もちろんそれに付随したこうしたテクニックが人気の土台を固めているのは問うまでもないだろう。
さて、ペイントは最初に下色を塗った後に黄色やエアブラシを入れ、その際に塗膜をわずかに剥がしたりクラックを入れて凸凹感を確保。その上から黒目のベースを吹いて、茶色や焦げ茶色、黒色を表面に叩いていき錆び感を演出。このとき、バイクが実際に錆びやすい箇所をしっかりと意識してリアルな感じを出すのがポイントだそうだ。
「錆のリアル感は海外から仕入れた車両なども良く見たりしていつも注視してます。やり過ぎてしまうとどうしても作り物っぽくなってしまいますから」
ペイントもそうだが、フロント周りのボリュームに合わせてカチ上げたリアフェンダーの補完やシッシーバーのハイトなど、やはり全体の見晴らしの良さを確実に抑えてこそのエイジングである。でなければ、昨年に続いて繰り返しアワードに選出されるのは生半可なことではない。
HARLEY-DAVIDSON EL 1952 DETAIL WORK
HANDLE
ライザーとエイプハンガーは元々のベース車両に付いていた物をそのまま使用。この辺の風合いに全体を統一。
FRONT FORK
純正グライドフォークを採用。ブレーキやホイール周りも純正でタイヤにファイアストンのレーシングを選択。
GAS TANK
パンヘッド純正タンクを使いエイジング加工。クラックや錆び感、色味といった経年劣化のリアルさを追求した。
ENGINE
エンジンのロッカーカバーはフロントが本物で、その風合いに合わせてリアのメッキの新品をエイジング処理。
REAR FENDER
跳ね上げた5インチフラットフェンダーは一度カットした後に溶接でつないで成形。エアブラシや錆び感が際立つ。
SISSY BAR
手元にあったキング&クイーンシートありきでシッシーバーやフェンダーを製作。頂にオーナメントを添える。
BUILDER’S VOICE
MOTOR CYCLE PANDEMIC
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