H-D XL1200
URAWUS MOTOR CYCLE
リッチでニッチな
カフェレーサー
ガソリンタンクからレーシング風シート、シートカウルにかけての水平ラインが印象的なカフェレーサー。ハーレーでは描きにくいそのラインを見事に表現している『ウラウズモーターサイクル』製作のXL1200。
エンジンのロッカーカバー部分を隠せば水平ラインを描きやすくなるが、ガソリンタンクは無粋にデカくなる。どうしてこんなにタイトで、ヒリヒリするようなスピード感を連想させるフォルムが作り出せたのだろうかと、しばしそのラインから目が離せなくなる。
「最初はバカデカくなったんですよ」と店主の鈴木さんは戯(おど)ける。「だから型紙で何度も試作して、ここまでコンパクトにまとめられたんです」。
聞き手の緊張感を解きほぐすような応えに、やっとほかの部位へと目を移すことができるようになるのだが、伊国製ボラーニやセリアーニといったリッチなパーツが次々と襲いかかってくるので、瞳孔は開きっぱなしだ。
「カフェレーサーを作ってほしいという依頼でスタートしました。オーナーが好きなカスタムスタイルの写真を何枚か見せてもらっているうちに、パーツがどんどん決まっていって、そこから自分が作るんだったらこうしたいっていうのを入れた感じですね」
普段、チョッパー色の強い『ウラウズモーターサイクル』だが、アルミパーツがシックに輝くカフェレーサーを作り上げ、横浜ホットロッドカスタムショーでも反響を呼んだ。
ベースエンジンはパワーより軽さが求められるカフェレーサーに、883ではなく、あえてXL1200で製作。しかも、ただでさえハーレーのカスタムで少ないニッチなスタイルだ。
「チョッパーを多く作ってきましたが、『今度やるんだったら』と、頭の中に思い描いていたんです。だからひとつの完成形みたいな感じで、大満足の仕上がりです」
柔らかい素材として知られるアルミだが、その造形製作には困難を要するというのは、あまりにも知られていない事実だ。そのアルミ板を魔法掛かった手で縦横無尽に操り、美しくもレーシーなフォルムへと変身させていく。
フロントカウル、ガソリンタンク、オイルタンク、シートカウルの4点がアルミの叩き出し。柔らかなアールを描きながらもシャープなエッジを立て、複雑なシェープを披露する。
鈴木さんが穏やかに語りはじめる。それはアルミ造形に相当な自信があることを窺わせるトーンだ。
「ただ曲げただけだとボリュームが出て膨らみすぎてしまう。エッジを立ててシャープにしながらも、やりすぎないようにする感じですかね」と。
(文/野上真一)
HARLEY-DAVIDSON XL1200 DETAIL WORK
HANDLE
モーターロック製のセパハンはミリ仕様。メーター、スイッチ、グリップ、エンドミラーはモトガジェットで統一。
FRONT FORK
フォークはイタリアの名品、セリアーニ製。タイヤ径はスムーズなハンドリングを実現する前後18インチに変更。
GAS TANK
タンク下部の水平ラインが特徴的なアルミ叩き出しの造形。それを巧みに引き出す品のあるペイントワーク。
MUFFLER
マフラーはトランプサイクル製のフルチタンマフラー。レーシーなバックステップもやはりトランプサイクル製。
REAR SHOCK
ドイツ製の剛性の高いスイングアームにイタリア・ビチューボ製リアショック、ロッキードのブレーキを装着。
SEAT COWL
リア周りもアルミ叩き出しで製作。オイルタンクには中国出張の多いオーナーが選んだ中国で縁起のいい数字が入る。
BUILDER’S VOICE
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