H-D FXWG 1985
WIZE GUYS
応用力学を備えた
外角からのアンセム
突き抜けている。全国にロングフォーク乗りは数いれど、この大柄な車格で30インチオーバーとなると、最近ではなかなか数は少ない。そして、生一本のロングフォーカーの間で暗黙の疎通となるのが、『長いほどに喝采』のロジックだ。しかしもちろん、ただ長いのを良しとするほどこの世界は甘くない。走行性を確保した上で、という大前提を怠ることは許されない厳しい戒律がある。
北九州の『ワイズガイズ』によるこのチョッパーは、押し引きしたその瞬間からディメンションの確かさがうかがえる一台だ。時に、近辺のプロショップも金属加工を依頼する外注先として陰に陽に丹精する主人の岡田さんだが、そのバックボーンは学生時代に染み付けた応用力学にある。
人生でもっとも多感な時期に吸い込んできた材料力学や材料学といった専門性の高い題目はいまの仕事に活かされ、それが自身の糧(かて)にもなっている。曰く、フレームを作る時にフォークの長さに合わせてキャスター角/トレール量を間違えなければ理論上はどれだけフォークを長くしてもハンドリングに悪影響は出ないと言う。
「このチョッパーはとにかく派手にっていうことですよね。今でこそ多いんですけど当時30インチオーバーまでぶち込もうかっていう人がまだそんなにいなかったんで(笑)」
聞けば、このチョッパーは約25年ほど前に作ったものだそうだ。それを現在2代目となるオーナーが少しずつ理想の形へと近付けていったもので、フォークの長さもさることながらペイントもその頃としては例外的だった。
「塗装に関してはあの頃はまだ珍しかったレインボーフレークをふんだんに振りかけまくってます。あとバイクの取り回しが軽いのはキャスター角とトレール量の話なんです。やっぱりバイクは数字で動くものなんでそこさえ間違えなければですね」
実はこのとき聞き捨てならないワードがあった。「バイクは数字で動くもの」。世に沢山の作り手はいるものの、この言葉を持ち出す人間はあまりいない。カスタムという感覚的なものが多分に求められる中で、しかと数値を念頭に置いたビルドを進めるからこそ口からついて出たフレーズだろう。
「今回このチョッパーを用意したのは、まだ初期の頃に作ったものですけどそのままオーナーさんが大事に乗ってくれてるという所ですかね。今見るともっと作り込めるなっていう箇所はたくさんありますけど、やっぱり思い入れが強いのは強いです」
HARLEY-DAVIDSON FXWG 1985 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは30インチオーバーのプロアム製。確かなキャスター角とトレール量でストレスないハンドリング。
GAS TANK
タンクは鋭角的なプリズミックタイプで、先端の形状をトレースするようにハンドルをワンオフ。塗装にも刮目。
FOOT STEP
造形物にもショップカラーが現れている。フットステップ周りは鉄棒を曲げて有機的デザインでフィニッシュ。
OPEN PRIMARY
「それ自体に存在感があり誰とも被らない物」というテーマで単一製作。他にも要所が同デザインで固められた。
PAINT WORK
約25年前当時にレインボーフレークを振りかけまくったと言うペイント。外装のみならずフレームまでに至る。
MUFFLER
圧巻のマフラーとシッシーバーのアンサンブル。マフラーエンドは直線で揃うよう調整を繰り返しカッティング。
BUILDER’S VOICE
WIZE GUYS
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