H-D SHOVELHEAD 1977
70S. AREA
破壊した先に広がる
泡状のフリーマインド
滋賀県の『70S. AREA(ナナマルエスエリア)』はカスタム全般を切り回す店主の坂本さんと、アクセサリー製作の「シルバースミスジャービス」森本さんのツートップでオペレーションされる。そしてこのショベルヘッドは、森本さんの分野であるエングレイブ(金属彫刻)を目立たすのもポイントのひとつだったそうだ。
「オールドアメリカンな雰囲気を重要視しながらエングレイブを彫り込んだっていうのがあります。あとは昔のアメリカの先住民たちは骨を素材に使ってアクセサリーを作っていたみたいなんで、そういう骨を全体的にイメージした感じですかね」
キーワードは『エングレイブ』と『骨』である。極力既成パーツの状態を活かしてシンプルに。フレームワークとメインのエクステリアで大枠を固めて、そこにエングレイブで美装した。
「実はこれとほぼ同じ仕様でSR400を作らせてもらってて、それと同じ内容でこのショベルヘッドを作ったんです。ウチのお店の特長としてあまり伝統とかにこだわらず、どんな車種でもカッコ良くしていきたいというのがあってそれに基づいてやってます」
SR400の国産カスタムありきで今回のショベルヘッドが完成したと言う。一般的に見ればその逆が常だが、同店ではそうした既存の観念を軽々と破壊してしまうパンチ力がある。伝統にこだわらないというのはつまり、自分たちが信じた道を突き進むことと同義である。
さて、一帯のスタイリングに目を移したい。元々ワイドタイヤが履かされていたフレームには、その隙間を埋める算段もあってマフラーを内側に開通。また、ステンレス製のフェンダーステーとシフトステーの中部には二人がかりで金属を炙りながら曲げたアクセントを取り入れ、エンジン周りに刻んだエングレイブの威容と共鳴させている。この辺の僅かな手数で見る人をひき付ける感性は、シルバーアクセサリーに従事する作り手によるサポートもきっと大きい。
「やっぱりヴィンテージハーレーだからという枠を超えて、国産車でも同じようなことが出来るんだよっていうことをウチは見せていきたい。これはそういう展開をしていこうという中でのベーシックな一台ですね」
ハーレーにはハーレーの良さがあるけど、忘れてはいけないのが同じように国産車にも国産車の魅力があるということ。ハーレーが一番だという通念にとらわれずに、他の車両にも目を向け、本当に自分の心が向いたバイクに乗って欲しいと坂本さんは想いを開放する。
HARLEY-DAVIDSON SHOVELHEAD 1977 DETAIL WORK
FRONT FORK
スプリンガーフォークに米国製ライトを上下2連でセット。ペイントはホワイトベースのエイジング塗装。
GAS TANK
ハイトのあるスポーツタンクをメインフレームとツライチで設置。フレイムスは古めかしさに配慮してドロウ。
ENGINE ENGRAVE
パートナーである「シルバースミスジャービス」森本さんの手でエングレイブ。カスタムのハイライトになる。
OIL TANK
オイルタンク後方にスイッチを埋め込み、反対の右側はキーシリンダーに。シフトステー中部にアクセントを付加。
MUFFLER
元々ワイドタイヤの入ったフレームということもあり、クリアランスを埋めることも考慮してマフラーを中通し。
FENDER STAY
ステーはステンレス製で、金属を炙って加工した二人の共作となる。ツイストしたワンポイントが映える。
BUILDER’S VOICE
70S. AREA
住所 | 滋賀県甲賀市水口町高塚1-22 |
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電話 | 0748-60-3676 |
FAX | 0748-60-3676 |
SHOP | 70S. AREAのショップ紹介 |
営業時間 | 11:00 ~ 19:00 |
定休日 | 不定休 |