H-D FXE 1975
WEST VILLAGE CUSTOM CYCLES
人車一体を目指し、生まれた
トラッドと個性の融合
ベース車両から無駄なパーツを削ぎ落し、タンクやフェンダー、ハンドルやステップなどに手を加え、出来るだけシンプルにした上で乗り手ごとの個性が求められるチョッパーという創造物……その中でプライオリティを置くべき部分とは一体何だろうか?
たとえばこの世に二つとないスタイルを求めるべきか? はてはシンプルになった外装の分、享受される軽快な走りか? さらにはフットクラッチとジョッキーシフトによる独特の操作感か? 100人いれば100とおりの答えがあるように、その解答は人によってそれぞれだろう。
そうした中、このマシンを前に三重県に店舗を構える『ウエストヴィレッジカスタムサイクルズ』の西村さんは言う。「このマシンで目指したのは何よりオーナーのお客さんが跨った時の人車一体感である」と。それを果たした上で「5年、10年と乗っても飽きないバイク」にすべくカスタムの手を施したとも氏は語る。
そのオーナーの要望と自らのプロとしての提案を擦り合わせ、まず西村さんは“ポジション”にこだわったとのことだが、これは言うまでもなくコンセプトの根幹である“人車一体”の姿を目指したゆえ。
当初はハンドルが低いコンパクトなチョッパーをオーナーが望んでいたそうだが、氏は乗り手の体格に合わせ、あえてミディアムタイプのエイプハンガーをチョイスし、その装着を提案したとのこと。ミッドハイのステップにしても同様の理由でワンオフ製作に至ったという。
こうして大まかなアウトラインを決めた上で、オーナーと同じ生まれ年である1975年FXEはシンプルなリジッドフレームを骨格にしたチョッパーへと変貌していくのだが、やはり“飽きない”という部分を求める上でルックス的に“他にない個性”も重要な要素。
そうした点を満たすべく、あえて変化球的に装着されたナロー・スポーツスタータンクや、その上に描かれた塗装業を営むオーナー自らが手掛けた“プレイハンズ”のグラフィックが描かれたペイントワーク、さらに同じモチーフのシフトノブやワンオフのシッシーバーなどで、あくまでもさりげなく個性が与えられている点にも注目だろう。
また走りの部分に関してもノーフロントブレーキながら右手でも操作可能なようリアにPM製4ポットキャリパーをダブルで装着し、最低限の安全確保にも抜かりがない。
たしかにこんなシンプルかつ個性的なマシンなら……5年後、10年後もきっと乗り手が飽きずに路上を走らせているに違いない。
(文/渡辺まこと)
HARLEY-DAVIDSON FXE 1975 DETAIL WORK
FRONT FORK
フォークは74スプリンガーを日本の品質で再現したネオファクトリー製。イエローのレンズもWVCCらしい。
GAS TANK
ナロースポーツの上面に描かれた“プレイハンズ”のグラフィックは塗装業を営むオーナー自ら手掛けたもの。
PRIMARY
“プレイハンズ”シフトノブはeBayで購入。プライマリーベルトはBDL製1.5インチ、ペグ類は純正を流用。
MUFFLER
エンドがオーバル形状となったマフラーはWVCCによるワンオフ。こうした箇所の造形で個性を巧く演出する。
REAR BRAKE & WHEELS
ハンドコントロールでも操作可能なようリアにはPM製4ポットキャリパーをダブルで装着。制動力を確保する。
SISSY BAR
シンプルさの中に個性が光るシッシーバーはWVCC製ワンオフ。Rフェンダーは定番のセンターリブを装着する。
BUILDER’S VOICE
WEST VILLAGE CUSTOM CYCLES
住所 | 三重県津市幸町15-27 |
---|---|
電話 | 059-222-1185 |
FAX | 059-223-0994 |
SHOP | WEST VILLAGE CUSTOM CYCLESのショップ紹介 |
営業時間 | 13:00 ~ 21:00 |
定休日 | 水曜日 |